第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

ポスター

ポスター12 群 質の高い看護人材を育成する教育①

2023年9月30日(土) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (イベントホール)

座長:伴 信義

[ポスターO-12-3] 成人看護学実習における「患者に寄り添う看護」の概念化に関する考察

石井 俊行 (兵庫大学看護学部看護学科)

キーワード:成人看護学実習、看護学生、寄り添う看護、看護の概念化

【目的】看護学生が成人看護学実習後、「患者に寄り添う看護」をどのように考え看護を概念化したのかを明確にすること。【方法】1. 対象:看護系大学3 年生、「成人看護学実習2(慢性期実習)」を履修し、本研究への同意が得られた5 名。2. 方法:「受け持ち患者の実践から寄り添う看護を感じた場面」について半構造的グループインタビューを実施、内容をIC レコーダーに録音した。3. 分析方法:内容を会話分析の方法で書き起こし、カテゴリー化した。内容のカテゴリー化の妥当性は、質的研究のスーパーバイザー1 名によって確保した。4. 倫理的配慮:研究者が所属する大学の研究倫理委員会の承認を得て実施した。対象学生には研究の主旨を文書で説明し、研究への協力は強制ではなく自由意志であること、協力を断った場合でも実習評価への不利益を被ることがないことなどの説明を行った。【結果】学生の受け持ち患者の概要、5 名の学生受け持ち患者は女性3 名、男性2 名、年齢は70 歳代~80 歳代であった。5 名の患者は脳神経疾患の回復期にあり、ADLが自立または全介助を要していた。学生のグループインタビュー内容の分析より、「患者とのコミュニケーション場面」、「日常生活への援助場面」、「実践につながる看護過程の場面」、「患者との相互関係」の以上、4カテゴリーが抽出された。【考察】「患者とのコミュニケーション場面」では、患者の失語や聴き取りづらさなど疾患を理解した学生側の態度と傾聴の重要性を理解していた。このことは、健康障害から治療過程で苦しんでいる患者に寄り添う事を捉えていると考えられる。「日常生活への援助場面」では、生活行動の自立性が損なわれている対象者援助を通して、不安の緩和や傍に居て心も支えるなど心理的な援助の重要性を捉えていると考えられる。「実践につながる看護過程の場面」では、疾患、治療を理解した看護過程の重要性を理解していたが、患者の発達段階・役割機能や退院後の生活に視点を広げるアセスメントにつながる教授の必要性も明らかとなった。「患者との相互関係」で学生は、患者のことを主に考え、辛さや苦しさ、その人らしさを理解すること、相手の身になって考えることの重要性を理解していると考えられる。成人看護学実習を通して学生は、4 カテゴリーで「患者に寄り添う看護」を捉えていた。