JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BC 生物地球化学

[B-BC03] 地球惑星科学 生命圏フロンティア

コンビーナ:高野 淑識(海洋研究開発機構)、鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、加藤 真悟(国立研究開発法人理化学研究所)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)

[BBC03-P04] 氷形成を駆動力とした鉱物形成過程の検証:南モンゴルのアルカリ塩湖凍結時にみられる自生炭酸塩鉱物生成

*北島 卓磨1福士 圭介2,1ガンフレル バーサンスレン1関根 康人4依田 優大3,4ダバースレン ダバードルジ5 (1.金沢大学大学院、2.環日本海域環境研究センター、3.東京大学大学院、4.東京工業大学地球生命研究所、5.モンゴル国立大学)

キーワード:炭酸塩、アルカリ塩湖、鉱物生成

アルカリ塩湖は、湖水中の炭酸成分を炭酸塩鉱物の形成によって固定する。湖水に含まれる炭酸成分は大気CO2由来であるため、地球表層における炭素循環においてアルカリ塩湖が重要な役割をはたしていることが注目されている(Finley et., al 2015; Fukushi and Matsumiya, 2018)。一般的に、炭酸塩鉱物の生成は湖水の蒸発を駆動力として引き起こされていると考えられている。しかし、大陸内部の乾燥寒冷地域のアルカリ塩湖は冬季に結氷する。結氷状態の湖は大気から隔離されるため蒸発現象は引き起こされない。

多くのイオンは氷結により液相に排除されるため、結氷に伴い液相にはイオン濃度の上昇が引き起こされることが予想される。また、内陸の閉鎖湖では新たな水の流入、湖水の流出が無いことからも推測できる。これは結氷で生じる湖水の環境は蒸発による湖水の濃縮と非常に類似していることを示す。つまり、結氷が鉱物生成の駆動力となる可能性が考えられる。ただし、氷点下で大気から隔離されるためCO2分圧や炭酸濃度など環境条件が蒸発プロセスとは非常に異なることが言える。したがって、湖の結氷によって鉱物生成が引き起こされる場合、夏季の蒸発とは異なるプロセスの鉱物生成であるといえる。

本研究では、このプロセスを「氷ミネラリゼーション」と呼び、実際にこのプロセスが天然の湖沼で生じているかをモンゴル南部のアルカリ塩湖を対象に検証することを目的とした。本発表においては実際の湖での測定結果をもとに、夏季から冬季への湖水の水質変化と結氷による鉱物生成の可能性を報告する。