日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS27] 歴史学×地球惑星科学

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.22

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、磯部 洋明(京都市立芸術大学美術学部)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、岩橋 清美(国文学研究資料館)

17:15 〜 18:30

[MIS27-P02] 明治期の伊豆・小笠原諸島における地震カタログ未掲載の被害地震の史料—1873(明治6)年利島の地震ほか—

*服部 健太郎1 (1.京都大学)

キーワード:歴史地震、伊豆・小笠原諸島、1873年利島の地震、1885年新島・式根島の地震、1885年小笠原諸島の地震

有史以来日本付近で発生してきた被害地震については,『理科年表』の「地震の年代表」(国立天文台, 2020)や,『日本被害地震総覧 599-2012』(宇佐美・他, 2013)などの地震年表にまとめられている.宇佐美・他(2013)は「家屋・人工構築物・地盤(面)に何らかの損傷・変化のあった地震」を掲載している.今回,明治期(1868〜1912)に発生し,伊豆・小笠原諸島に被害を与えた地震のうち,宇佐美・他 (2013)に掲載されていない被害地震の記録を調査した.
 本発表では,1873(明治6)に発生し,伊豆諸島北部の利島(現 東京都利島村)に被害をもたらした地震に注目する.この地震により,利島の寺社に被害が生じ[利島村(1996a)],山崩れが発生した[利島村(1996b)].この地震の発生日について,利島の記録は「陰暦六月八日」としている[利島村(1996a)].明治6年は日本において和暦(陰暦)から西暦に切り替わった年であるが,これらの記録は例外的に和暦表記を用いていた. 西暦に直すと1873 (明治6) 年7月2日である.この地震は宇佐美・他 (2013) に掲載されていない.本発表では,この地震に関する他の史料を調べた結果を報告する.
 この他, 1885(明治18)年10月26日の伊豆諸島の地震,1885(明治18)年11月4日の小笠原諸島の地震も合わせて検討する.前者の地震では,伊豆諸島北部の新島・式根島(現 東京都新島村)の海岸数カ所の崖が崩れ,式根島内の水源の水路が塞がれた.後者の地震では,小笠原諸島の父島(現 東京都小笠原村)などで山崩れが発生した.1885年〜1925年に発生したM6以上の地震及びM6未満の被害地震をまとめた宇津(1979)にも含まれていない.