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[O08-P77] 現地調査に基づく地熱発電利用の現状と課題へのアプローチ
キーワード:地熱発電
日本国の地熱資源埋蔵量は、世界でもトップクラスである一方で、国民一人あたりに占める地熱発電の割合は非常に少ない。国内の発電総量から他発電と比較したときにも、国内の発電割合の大半を占めるのが火力発電である。私たちは、日本国の持つ地熱資源の有効的な利用について科学的見地から調査と実験を行い最終的な日本国の地熱発電割合向上を目的として本研究を行う。本研究中、東北に所在する5か所の地熱発電施設を視察し、またその周辺地域において地熱エネルギーを用いた商用利用や社会的利用に関しても調査を行った。まず、日本国における地熱発電の現状についてである。日本の地熱資源埋蔵地域は、国定公園及び国立公園付近に分布するため国定公園法の規則により、地熱資源の開発ができない。すなわち、地熱発電のための大規模な開発は法律によって制限されているため、事業者が地熱発電の開発ができない。この法律は、日本政府のベースロード電源に関する政策転換によって2017年に改変され、現在は国定公園外からの開発に限り許可されている。このような現状でも地熱発電に関して進行しないのには、発電機の国産がされていないという現状がある。このため、発電装置内に不備が見つかった場合に国内で備品が調達できないために修理まで時間がかかる。これでは、固定価格買取制度の持続期間内に設備費用を回収することが非常に難しい。これも、地熱発電が発展しない要因の一つである。また同様に、バイナリー発電に関する理解が乏しいことも地熱発電が浸透しない要因である。私たちが実験的側面からアプローチを行うのはこの点である。私たちは、比較的温度の低い熱源を用いて発電を行うバイナリー発電を広めることである。これには、温泉事業者の理解を得ることが必要である。そのため私たちは、地熱発電模型を用いて地域の温泉事業者をはじめ、地域小中学生に向けて地熱発電の理解を深めるための教育を実践していきたいと考えている。現在は、地熱発電方式の一つであるドライスチーム方式の地熱発電モデルを開発し発電効率が悪かったために多角的視野から当該問題を対処しようと考えている。