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[O06-P56] ターコイズフリンジの色彩に迫る ~2021.11.19 & 2022.11.8 月食における本影境界付近の RVB光量分布~
キーワード:月食、ターコイズフリンジ、光量分布
要旨
模様を消去した月食画像を測光することにより、RVBの測光結果をグラフに示して、ターコイズフリンジのRGB比の色彩を求めた。
はじめに
私たちは2021年11月19日と2022年11月8日に起こった月食を観測し、本影内のR、V、B光量分布について調べた。また、2回の月食では「タ―コイズフリンジ」という、太陽光が成層圏を通過するときに赤い光が吸収され、青い光だけが直進することにより、月面の縁が青く見える現象が本校でも観測された。このRとVとBの光量の関係を確認した。
方法
場所:愛知県立一宮高校(愛知県一宮市北園通6-9)
機材:ZWO社ASI-290MM、R,V,Bフィルタ、タカハシFSQ-106(D:106mm f:530mm)、EM200赤道儀、Canon EOS RP EF200mmF2.8 2Xエクステンダー
観測日:2021年11月19日、2022年11月8日
測光:CMOSカメラの月食画像を1次処理し、画像の月の模様による明るさの変化を月食終了後の満月画像で割り算することで、月面の模様を消した。マカリで模様の消えた月面上の約20点を半径5で開口測光した。測光した点と本影の中心との角距離とObj平均を調べ、1秒露出に換算した上で、表計算ソフトでグラフ(散布図)を作成した。
結果・考察
グラフ(散布図)は、横軸に本影中心からの角距離、縦軸(対数軸)にR、V、Bの1秒露出相当の明るさをとった。(図1、図2)なお、縦線は各月食時の本影の境界位置である。
グラフより、本影の内部では明るさが R>V>B となっており、赤い色であると分かる。これは、地球の大気を太陽光が通過する際、青と緑の光がより散乱しながら進むためである。しかし、VとBが本影の縁から半影にかけて(横軸36-37’(2021)、40-41’(2022))の付近で急激に上昇しているので、この付近でターコイズフリンジが観測されたと思われる。
また、2021年の月食について、図1のグラフを用いてRGB比を算出し、地球の影の模式図を作成した(図3)。本影外側は、本来白いはずが赤っぽい色になっており、使用したカメラにIRカットフィルタがなく赤外線まで感度を持っていることが原因と思われる。本影内部は色が暗く分かりにくいため、39‘以内でRGB比を求めて図に示し(図4)、色の差を強調するためにこれにガンマ補正をかけた(図5)。図4より、本影内部が赤色であることが分かり、図5より、ターコイズフリンジが観測された付近で回りと色が異なり青や緑が強いことが分かった。
2022年の月食についても、現在影の模式図を作成中である。
今後の展望
2022年11月8日に起こった月食の、影の模式図を完成させ、二つの模式図の比較検証をしたい。
使用ソフト
すばる画像処理ソフト マカリ、ステライメージver.6,8、ステラナビゲータver.11、 Microsoft Excel 2019、ペイント
参考文献
第17回ジュニアセッション講演56「皆既月食による本影内のRVB光量分布」一宮高校、月食を楽しむ・月食から科学する」大西浩次(国立長野高専)
模様を消去した月食画像を測光することにより、RVBの測光結果をグラフに示して、ターコイズフリンジのRGB比の色彩を求めた。
はじめに
私たちは2021年11月19日と2022年11月8日に起こった月食を観測し、本影内のR、V、B光量分布について調べた。また、2回の月食では「タ―コイズフリンジ」という、太陽光が成層圏を通過するときに赤い光が吸収され、青い光だけが直進することにより、月面の縁が青く見える現象が本校でも観測された。このRとVとBの光量の関係を確認した。
方法
場所:愛知県立一宮高校(愛知県一宮市北園通6-9)
機材:ZWO社ASI-290MM、R,V,Bフィルタ、タカハシFSQ-106(D:106mm f:530mm)、EM200赤道儀、Canon EOS RP EF200mmF2.8 2Xエクステンダー
観測日:2021年11月19日、2022年11月8日
測光:CMOSカメラの月食画像を1次処理し、画像の月の模様による明るさの変化を月食終了後の満月画像で割り算することで、月面の模様を消した。マカリで模様の消えた月面上の約20点を半径5で開口測光した。測光した点と本影の中心との角距離とObj平均を調べ、1秒露出に換算した上で、表計算ソフトでグラフ(散布図)を作成した。
結果・考察
グラフ(散布図)は、横軸に本影中心からの角距離、縦軸(対数軸)にR、V、Bの1秒露出相当の明るさをとった。(図1、図2)なお、縦線は各月食時の本影の境界位置である。
グラフより、本影の内部では明るさが R>V>B となっており、赤い色であると分かる。これは、地球の大気を太陽光が通過する際、青と緑の光がより散乱しながら進むためである。しかし、VとBが本影の縁から半影にかけて(横軸36-37’(2021)、40-41’(2022))の付近で急激に上昇しているので、この付近でターコイズフリンジが観測されたと思われる。
また、2021年の月食について、図1のグラフを用いてRGB比を算出し、地球の影の模式図を作成した(図3)。本影外側は、本来白いはずが赤っぽい色になっており、使用したカメラにIRカットフィルタがなく赤外線まで感度を持っていることが原因と思われる。本影内部は色が暗く分かりにくいため、39‘以内でRGB比を求めて図に示し(図4)、色の差を強調するためにこれにガンマ補正をかけた(図5)。図4より、本影内部が赤色であることが分かり、図5より、ターコイズフリンジが観測された付近で回りと色が異なり青や緑が強いことが分かった。
2022年の月食についても、現在影の模式図を作成中である。
今後の展望
2022年11月8日に起こった月食の、影の模式図を完成させ、二つの模式図の比較検証をしたい。
使用ソフト
すばる画像処理ソフト マカリ、ステライメージver.6,8、ステラナビゲータver.11、 Microsoft Excel 2019、ペイント
参考文献
第17回ジュニアセッション講演56「皆既月食による本影内のRVB光量分布」一宮高校、月食を楽しむ・月食から科学する」大西浩次(国立長野高専)