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[MIS20-02] 西太平洋地域でアプチアン期後期に発生した超巨大津波とその波源候補
キーワード:津波堆積物、アプチアン期、超巨大津波、宮古層群
下部白亜系宮古層群からは藤野ほか(2006)によって報告された津波堆積物を再検討し,現代の主要な津波との比較からその相対的な規模を推定した.藤野ほか(2006)によって津波堆積物が報告された田野畑地域から現在の水平距離にして約15 km離れた真崎地域の,岩相層序学的に同一の層準において新たに津波堆積物を発見した.田野畑地域における津波堆積物の厚さは最大で8.5 mであった.真崎地域における津波堆積物の層厚は1.5–5.5 mで,下位の斜交層理砂岩層を4 m以上侵食していた.真崎地域の津波堆積物は下位の斜交層理砂岩層の偽礫を含んでいる.このことは,ある程度続成作用を受けた深度まで津波が海底を侵食したことを示唆している.この津波による堆積物の厚さと侵食の程度は近年の主要な津波をはるかに上回る.また,このような津波堆積物が見つかったのは宮古層群全体で一層準だけであり,このタイプの津波が百年から数百年程度の間隔で繰り返す海溝型地震津波よりもずっと低頻度であったことを示す.通常の津波よりずっと大規模かつ低頻度で発生したこの津波は超巨大津波(mega-tsunami)と呼ぶべきだろう.宮古層群におけるアンモナイト生層序はこの超巨大津波が発生したのはAptian期後期であることを示す.この時代は,宮古層群と同じ前弧海盆でできた蝦夷層群中の崕山オリストストロームの形成時期と重なる.崕山オリストストロームの形成は宮古層群で見つかった超巨大津波の有力な波源候補といえる.