日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] 高校生ポスター発表

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球惑星科学系 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(文部科学省)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O08-P64] 回折格子を用いた流星群の分光観測

*佐々木 弓花1、*齊藤 りお1、*佐藤 阿希1、*結城 さくら1 (1.宮城県古川黎明高等学校)

キーワード:分光観測、流星

1 背景と目的

 本研究は,流星をデジタル一眼レフカメラで撮影した際に,流星の色が途中で変化していることに気づいたことから研究が始まった。2016年から研究を引き継ぎ,現在8年目になる。目的は「地上からの分光観測による流星発光に関する元素(流星物質・地球大気)の特定」,「各流星群に含まれる元素にどのような傾向があるのか調べる」の2点である。

2-1 観測方法

 まず,ブレーズド回折格子を用いて自作した分光器を,デジタル一眼レフカメラに取り付ける。次に,流星群の活動時期に,流星がカメラの画角に対して縦に写るように設置して連続撮影を行う。

2-2 解析方法

 まず,波長が分かっている元素の光を,流星が撮影できた分光画像上の流星と同じ位置に入射させて撮影し,回折格子のスケールを求める。続いて,画像解析ソフト「Makali`i」を用いて,画像上の輝線の間隔から各輝線の波長を求める。最後に発光に由来する元素を推測する。

 過去に撮影した流星の分光画像を流星群毎に集め、結果を表にまとめて流星群毎の傾向を考察する。

3 結果・考察

 これまでに合計約688,000枚撮影し,66枚の流星の分光画像を得ることができた。

・ふたご群において最も多くの流星を撮影できた。

・特に2017年のふたご群において,MgⅠよりもNal が少ない傾向がみられた。原因として,Naの揮発性の高さと,母天体の公転周期と近日点の距離が関係しているためだと考える。

・昨年新たに得た分光画像においても,2017年と似た傾向がみられた。そのため,先程の考察に確実性が増した。

・先行研究(*2)においては,Na が著しく欠乏していたが,我々が行った地上観測においては先行研究ほど欠乏がみられなかった。

4 今後の課題・展望

 今後は観測方法の改善に努め,より多くの流星の分光画像を撮影し,他の群についても構成元素の傾向を明かしていきたい。また,今まで撮影できた流星の分光画像の校正作業をし直し,画像の枚数ではなく光の強度から流星群の傾向を明らかにしたい。

参考文献

*1 国立天文台(2014):「理科年表 平成 27年」丸善出版

*2 A 2004 Geminid meteor spectrum in the visible-ultraviolet region Extreme Na depletion? (T. Kasuga, J.Watanabe, and N.Ebizuka) A&A より