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[SVC29-09] 火山灰粒子自動解析技術による噴火の即時推移把握
キーワード:火山灰、噴火モニタリング、自動画像認識
火山灰粒子からは、爆発的噴火を駆動するマグマの化学組成や発泡度、結晶度といった物性や、破砕メカニズムに関する情報を読み取ることができる.火山灰粒子はマグマ噴火や水蒸気噴火といった爆発的な噴火では普遍的に生産され、噴煙によって遠方まで比較的速やかに飛散・降下するため、火口周辺から離れた地点でも採取が可能であり、噴火の進行に沿った噴火メカニズムの変化を物質的な証拠から追跡するには適した試料である.しかし、噴出物を採取し、観察できるように処理を行ったのちに光学顕微鏡等を使って肉眼で構成粒子やその特徴を識別する必要があるため、噴火推移に沿った迅速な情報収集や、大量の試料の処理は困難であった.また、観察者の経験や技量によって得られる情報が偏るため、情報の客観性にも課題がある.そこでわれわれは、マルチモーダルAI技術の地質分野への応用の一つとして、近年発達してきている自動画像認識技術を火山灰粒子の特徴解析に応用し、大量の試料を迅速に解析する技術を開発した.水洗・ふるい分けした火山灰粒子を光学顕微鏡で撮像し、画像を複数のクラスに区分した教師データ用いて深層学習を用いた転移学習モデルによる分類を試みた.これにより、従来研究者が行うよりも数桁速い速度で、数桁多い粒子を鑑定することが可能となった.阿蘇2014-15年噴出物や桜島2017-2022年噴出物に適用した結果、表面現象によりとらえられた火山活動推移を反映した火山灰構成粒子比の変化を抽出することに成功した.さらに、試料の事前処理を現地で実施する仕組みを開発し、現地に持ち込んだ顕微鏡で撮像した画像を転送し、それを自動分類することも成功した.自動画像認識による粒子解析には、教師データの設定やあいまいな粒子の鑑定方法などに課題が残るものの、噴火モニタリングに必要な最低限の情報をスクリーニングし、異常を検知するための手法としては有力である.