日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼料1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 栄養・飼料 (オンライン)

座長:柴田 昌宏(日本獣医生命科学大学)、伊藤 文彰(農研機構北農研)、生田 健太郎(兵庫県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センター)、黒川 勇三(広島大学)、福森 理加(酪農学園大学)

[I-15-16] 短距離輸送した育成牛における第一胃内保護ナイアシン補給の影響

*武本 智嗣1、松井 徹2 (1. 全農飼中研、2. 京大院農)

【目的】育成牛の輸送は体重や血液成分に悪影響を及ぼす。我々は、長距離輸送はナイアシン(NA)不足を引き起こし、第一胃内保護ナイアシン(RPN)補給は長距離輸送による体重低下を抑制することを明らかにしている。短距離輸送は、長距離輸送同様、体重低下や血中グルコース低下などの変化を引き起こすことが知られているので、短距離輸送でもNA不足が生じている可能性がある。本試験では、育成牛においてRPN補給が短距離輸送による悪影響を低減するか検討した。【方法】10頭の育成牛を6時間の絶食・絶水とともに輸送した。半数の育成牛に対してRPNを50 g/日/頭(NAとして20 g/日/頭)補給した。体重測定と採血を31日間行った。また約31ヶ月齢まで肥育し枝肉成績の比較も行った。【結果】全血中NA濃度は輸送により一時的に低下した。RPN補給は全血中NA濃度を上昇させた。輸送により、血清中総コレステロールおよびグルコース濃度が低下したが、RPN補給はこれら濃度低下を軽減した。また、輸送により体重が減少し、RPN補給は体重低下を軽減した。31日間の日増体量は補給群が高かったが、出荷までの日増体量に群間差はなかった。対照群より、補給群のばらの厚さとBMS Noは高く、BCS Noは低かった。以上より、育成牛に対するRPN補給は短距離輸送による体重低下を一時的に軽減すること、肥育後の枝肉成績を改善する可能性が示された。