日本畜産学会第129回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞演題

優秀発表2

2021年9月14日(火) 09:30 〜 11:15 優秀発表応募演題2 (オンライン)

座長:万年 英之(神戸大院農)、山田 宜永(新潟大農)、澤井 健(岩手大学)、原山 洋(神戸大院農)

[IIYS-05] ホルスタイン種初産牛の人工授精受胎率に及ぼす環境要因の解析

*宇喜多 遥1、山崎 武志2、山口 諭3、阿部 隼人3、馬場 俊見4、唄 花子1、高橋 昌志1、川原 学1 (1. 北大院農、2. 農研機構北農研、3. 北酪検、4. 日ホ北支局)

【目的】人工授精受胎率は、乳牛の繁殖性を測る最も重要なパラメーターであり、多様な環境要因から影響を受ける。本研究では、ホルスタイン種初産牛受胎率に影響を及ぼす環境要因を精査した。【材料・方法】未経産牛533,672頭および初産牛516,710頭分の初回授精の成否を解析した。分娩後31-90日における検定日乳量の平均(MY)4グループと分娩から初回授精までの日数(CFI)4グループを総当たりで組み合わせた16のMY×CFIグループ、牛群、年、月、雌牛の月齢、種雄牛品種、精液種(通常または性選別)、精液原産国および分娩難易を説明変数とした線形モデルおよびロジスティック回帰モデルにより受胎率を分析した。【結果】未経産牛と異なり初産牛の受胎率では、6月に最低、10月に最高となり、ピーク泌乳量の高低と概ね一致した。また、月齢の増加に伴い受胎率は低下した。CFI60日以下はMYに関わらず61日以上と比較して受胎率が有意に低下し、子宮回復前の授精による受胎率の低下が示唆された。全てのCFIグループにおいてMYの増加に伴い受胎率が低下したため、ピーク泌乳量が長期にわたり受胎率に影響を及ぼすことが示唆された。以上より、経産牛の受胎率は月、月齢、乳量、CFIに影響を受け、中でもピーク泌乳量の高低が経産牛受胎率に大きな影響を及ぼす環境要因であることが実測フィールドデータを用いた本研究により確かめられた。