日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理1

2021年9月15日(水) 08:40 〜 12:00 形態・生理 (オンライン)

座長:小笠原 英毅(北里大獣医)、室谷 進(農研機構畜産部門)、松崎 正敏(弘前大農学生命)、小林 謙(北大院農)、磯部 直樹(広大院生物圏)、鈴木 裕(北大院農)

[IV-15-05] 給与飼料の違いが有機的管理で生産される日本短角種における筋線維型構成割合に与える影響

*原島 佑紀1、藤本 玲奈1、野原 香菜、小笠原 英毅1 (1. 北里大学獣医学部)

【目的】近年、SDGsなどの観点から持続可能な畜産方式として有機畜産が注目されている。北里大学FSC八雲牧場(八雲牧場)では2009年に有機JAS認証を取得し、完全グラスフェッドで肉用牛を生産している。これまでに放牧飼養により遅筋型に移行すること、脂肪滴含有筋線維が増加することを報告している。現在、国内には肉用牛での有機JAS認証取得牧場は5戸で、その給与飼料は穀物主体や粗飼料のみとそれぞれ異なる。本研究では有機的管理での給与飼料の違いが筋線維型構成割合に与える影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】供試動物は有機的管理(有機JAS認証を取得もしくは取得予定牧場)で、国産配合飼料給与(グレインフェッド:Grf)した2牧場および八雲牧場(グラスフェッド:Gf)の肥育後期の日本短角種去勢雄を用いた。枝肉から大腿二頭筋近位部および中遠位部を採取後、組織化学的手法により脂肪滴含有筋線維と筋線維型構成割合を算出した。 【結果】大腿二頭筋両部位において、GfでⅡB型筋線維の構成割合が低く、その傾向は近位部で顕著だった(Grf : 39% vs Gf : 8%)。脂肪滴含有筋線維の発現割合は近位部では差がなく、中遠位部ではGfで高かった(Grf : 0.5% vs Gf : 23%)。以上より、有機的管理で完全グラスフェッドの日本短角種では速筋型が少なく、脂肪滴含有筋線維の高い発現が特徴であることが明らかとなった。