日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用1

2021年9月15日(水) 08:50 〜 12:00 畜産物利用 (オンライン)

座長:水野谷 航(麻布大獣)、有原 圭三(北里大獣医)、小宮 佑介(北里大獣医)、下里 剛士(信州大)、荒川 健佑(岡山大院環境生命)

[V-15-08] Check-all-that-apply(CATA)法を用いた脂肪含量の異なる鶏肉エキスの官能特性の解析

*渡邊 源哉1、石田 翔太1、駒井 周太朗2、デュコンセイユ アン1、本山 三知代1、中島 郁世1、田島 淳史2、佐々木 啓介1 (1. 農研機構畜産部門、2. 筑波大生物資源)

【目的】脂肪は食肉の官能特性に影響を及ぼす因子である。脂肪の含量に基づき食肉の差別化を試みるためには、わずかな脂肪含量の違いがもたらす食肉の味や匂いの質的変化を明らかにすることが有益である。そこで本研究では、鶏肉エキスを食肉の風味の評価モデルとして選択し、弁別閾値に近い3段階の脂肪濃度の鶏肉エキスについて官能評価を行った。【方法】鶏もも肉上部のミンチを2時間90℃の熱水で抽出し、これに塩化ナトリウムおよび乳化剤を添加したエキスを対照区とした。続いて、市販の鶏の油を予備試験において推定した鶏肉エキスにおける弁別閾値と同濃度(閾値区)、弁別閾値の1/3倍量(1/3区)および弁別閾値の3倍量(3倍区)を対照区に乳化させたエキスをそれぞれ調製した。各試料を分析型パネルに評価させ、それぞれを表現する用語として当てはまるもの全てを選択させた(CATA法)。各用語を選択した人数のクロス集計値をコレスポンデンス分析に供し、脂肪含量の異なる鶏肉エキスの官能特性を解析した。【結果】コレスポンデンス分析において、各サンプルはそれぞれ異なる象限にプロットされた。対照区の近傍には「淡泊な味」、1/3区および閾値区の近傍には「バター臭」および「まろやかな味」、3倍区の近傍には「しつこい」がそれぞれプロットされ、脂肪含量の異なる鶏肉エキスの官能特性の違いが示された。