日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用2

2021年9月15日(水) 13:00 〜 14:30 畜産物利用 (オンライン)

座長:竹田 志郎(麻布大獣医)、重盛 駿(信州大農)、周 冰卉(東北大院農)

[V-15-26] 乳酸菌組換え体の経口投与によるIL-1Ra腸管送達能の検証

*生井 楓1,2、重盛 駿1、荻田 佑2、下里 剛士1 (1. 信州大バイオメディカル研、2. 長崎大院医歯薬学)

【目的】炎症性腸疾患は腸管で起こる慢性炎症疾患で、インターロイキン1(IL-1)がその病態悪化に関与している。これまでに、腸管におけるIL-1制御を目指し、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)を産生する乳酸菌組換え体(gmLAB)を構築した。gmLABは経口投与すると腸管に到達し、目的タンパク質を直接運搬できる。そこで、gmLAB経口投与によるIL-1Ra送達について、マウスを用いて検証した。 【方法】C57BL/6(メス、9週齢)マウスをgmLAB経口投与群及び無投与群の2群に分け、1×1010CFU/mouseとなるようにgmLABを30分毎、合計10回経口投与した。最後の経口投与から30分後にマウスを安楽死させ、血清、盲腸及び大腸内容物を回収した。その後、大腸内容物をgmLAB選択培地に画線培養し、血清、盲腸及び大腸内容物中におけるIL-1Ra濃度をELISA法にて測定した。 【結果】大腸内容物の画線培養では、gmLAB経口投与群でのみコロニーが観察された。血清IL-1Raの測定では、無投与群ではIL-1Raは検出されなかった一方で、gmLAB投与によりIL-1Ra濃度が大幅に上昇した。盲腸及び大腸内容物中においては無投与群と比較し、gmLAB投与によりIL-1Ra濃度が有意に上昇した。以上より、gmLABが生きて腸管に到達し、IL-1Raを送達していることが示された。