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[I-16-01] ホルスタイン種初産牛における周産期のエネルギーバランスとルーメン内発酵パターンの関係
【目的】乳牛のエネルギーバランス(EB)は飼料摂取量や乳生産などで評価されるが、ルーメン内発酵の関与については不明な点が多い。そこでホルスタイン種初産牛における周産期のEBについてルーメン内短鎖脂肪酸(SCFA)の影響を検討した。著者らは前大会で分娩後3週の血中遊離脂肪酸(NEFA)濃度の低い群は高い群と比較して、総SCFA濃度(mmol/L)が高い傾向に、酢酸(C2)/プロピオン酸(C3)濃度比が低い傾向にあることを示した。本発表ではSCFAの産生量に着目し解析した。【方法】ホルスタイン種初妊牛52頭を供試した協定研究(公設試)における分娩前後の血液・ルーメン液性状、乳生産および飼養成績を用いて解析した。EBの指標としてNEFAを用い、分娩後3週の対数変換したNEFAで低NEFA(L)群と高NEFA(H)群に分けデータを比較した。【結果】各週次での総SCFA量(mol/日)に群間差は認められなかったが、C3産生量(mol/日)は分娩後のH群で有意に低下した。SCFA比率から推定した1日のメタン産生量/乾物摂取量(mol/kg)もH群が高い傾向にあり、L群のルーメン内発酵がH群よりもC3優先発酵であったことを示していた。一方H群はL群と総SCFA量(mol/日)に差がなかったが、4%脂肪補正乳量/総SCFA量(kg/mol)が有意に高く、L群より強い体脂肪動員が起きたと推察された。