日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝2

2022年9月16日(金) 13:30 〜 16:40 Zoom会場2 (オンライン)

座長:谷口 雅章(農研機構畜産研)、石川 明(名大院生命農)、笹崎 晋史(神戸大院農)、横井 伯英(京大院農)、福田 智一(岩手大理工)、間 陽子(東京大学院)

16:00 〜 16:10

[II-16-34] ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライトマーカーに基づく国内エミュー(Dromaius novaehollandiae)飼育集団の遺伝的関係

*輿石 雄一1、大久保 倫子2、亀山 祐一2、相馬 幸作2、平山 博樹2、和田 健太2 (1. 東農大ゲノム、2. 東農大生物産業)

エミューは、肉、卵および脂肪を得られる新規家禽として期待されている。その一方で、我々は日本で飼育される集団が近交化の傾向にあることを示唆してきた。日本におけるエミュー産業の持続的な発展において、各牧場集団の遺伝的多様性を保持することは重要な課題であると考えた。そこで本研究は、国内6か所のエミュー集団を対象としたmtDNAおよびSSRマーカーに基づく遺伝的構造の推測を行った。157個体のD-loop領域において4か所の塩基置換および4種類のハプロタイプが検出された。AMOVA解析では、検出された変異のうち44%は「among population」であり、FSTは0.44(P<0.001)であったことから、日本の6集団は遺伝的に有意に分化していることが示唆された。10種類のマイクロサテライトマーカーに基づく分析は、各集団のヘテロ接合度の期待値(HE)および実測値(HO)が、それぞれ0.530–0.637 および0.436–0.595の範囲であることを示し、STRUCTURE解析は6か所の集団が3つの遺伝的構造の異なる集団に分化することを示唆した。これらの結果から、国内エミュー集団は、それぞれの集団の遺伝的多様度を回復させる遺伝的リソースとなることが示唆された。