日本畜産学会第130回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学1

2022年9月16日(金) 09:00 〜 11:20 Zoom会場3 (オンライン)

座長:平山 博樹、片桐 成二、山下 泰尚、岩田 尚孝(東京農業大学)、真方 文絵、松田 二子(東大院農生命)

11:10 〜 11:20

[III-16-14] 乳用雌子牛の抗ミューラー管ホルモン濃度と胎子期の栄養要因との関係

*森松 沙紀1、永見 渚1、川島 千帆1 (1. 帯畜大畜産)

【目的】牛胎子の原始卵胞増殖時期は, 母牛が多くの乳生産を行う妊娠初期に当たる. 抗ミューラー管ホルモン(AMH)は, 初期胞状卵胞から分泌され, 卵巣予備能の指標となる. 本研究は, 出生直後の雌子牛の血中AMH濃度と妊娠初期の母牛の乳量・乳成分との関係を調査した.【方法】供試家畜は, ホルスタイン種雌子牛77頭を用いた. 出生直後に子牛の頸静脈から採血し, 血中AMH濃度をELISA法で測定した. 子牛の血中AMH濃度に影響する母牛の要因を特定するため, 出生直後の子牛の血中AMH濃度と母牛の産次ならびに妊娠初期の乳量・乳成分との関係を解析した.【結果】出生直後の血中AMH濃度は, 最大1542.3pg/mL, 最小0.1059pg/mL(平均285.9pg/mL)であり, 母牛の産次との関係は認められなかった. 子牛の血中AMH濃度と母牛の妊娠初期(妊娠0~139日)における10日ごとの平均日乳量との間に相関関係はなかった. また, 子牛の血中AMH濃度と母牛の妊娠1~4ヵ月の乳成分は, 初産牛において1ヵ月目に乳タンパク率と負の相関(r=-0.41, P=0.08), 4ヵ月目に乳中尿素態窒素濃度と正の相関(r =0.45, P<0.05)があったが、他の項目ならびに2産以上においては相関関係がなかった. 以上より, 妊娠初期の乳量・乳成分はその産子の卵巣予備能に強く影響しない可能性が示唆された.