[O137-2] 当院における偶発性低体温症を合併した院外心停止に対する治療成績の検討
【背景】寒冷環境による偶発性低体温症を合併した院外心停止(OHCA)において、二次救命処置不応性の症例に体外循環式心肺蘇生(ECPR)を使用することは標準的となりつつある。予後についての報告も散見されるが、本邦からの報告は未だ少なく、更なるデータの集積が必要である。【目的】当院においてもVA-ECMO(venoarterial extracorporeal membrane oxygenation)を使用した救命処置を行っている。そこでVA-ECMO導入により神経学的予後良好な生存退院が増加するという仮説を立て、当院における治療法及び成績を検討した。【方法】期間:2013年4月から2018年3月。対象:当院に搬入された偶発性低体温症(深部体温≦35℃)を伴ったOHCA症例。研究方法:後ろ向きコホート研究とし、各症例を退院まで追跡した。主要評価アウトカムは神経学的予後良好(CPC 1または 2)の状態での生存退院とした。解析方法:stata/SE 12.1を使用。2値変数はPearsonのχ2検定、連続変数はMann-WhitneyのU検定を使用し、P値は0.05として検定した。。【結果】全19例。年齢:中央値 75 歳[四分位範囲 54~84]、男性 12 例( 63.2 %)、深部体温:中央値 26.3 ℃[24.4~28.6]。生存退院は8例(42.1%)で、神経学的予後良好は5例(26.3%)。VA-ECMO導入は 6 例(31.6%)であった。VA-ECMO導入6例の生存退院は4例で、その全例が神経学的予後良好であったことに対して、VA-ECMO非導入13例の生存退院は4例で、そのうち1例が神経学的予後良好であり、有意差を認めた(p=0.028)。【結論】当院の治療成績において、偶発性低体温症合併OHCA症例に対するVA-ECMO導入が、神経学的予後良好な生存退院と関連することが示唆された。同様の症例に対して積極的なVA-ECMO導入が望ましいが、導入判断の際に参考となる因子の検討を含め、更なる症例の集積が必要と考えられる。