[O5-6] 心臓血管外科術後に上昇する尿中NGALの検討
【目的】 近年、急性腎障害の早期バイオマーカーとしてNeutrophil gelatinse-associated lipocalin(NGAL)による検討が報告されている。しかし術後に上昇するNGALについての報告は少ない。今回、心臓血管外科手術後の尿中NGALと予後の関連について検討したので報告する。【方法】 正中切開による開胸、人工心肺使用にて心臓血管外科手術を行った64例の術前と術後帰室時、帰室2時間後、帰室12時間後、帰室24時間後の尿中NGALと人工呼吸器管理日数、ICU在床日数を分析した。【結果】 術後の尿中NGAL最高値は1386.4ng/mlで平均値は136.7ng/mlであった。術後に尿中NGALが上昇しなかった症例は認めなかった。透析導入、腎代替療法が必要になった患者は認めなかった。尿中NGALのピーク値と人工呼吸器管理日数の相関係数は0.241と低い正の相関であったが帰室12時間後の尿中NGALでは相関係数0.528と高い正の相関を示した。また人工呼吸器管理日数2日以上の患者群で帰室12時間後の尿中NGAL平均値は150.7ng/mlであった。ICU在床日数と帰室12時間後の尿中NGALは相関係数0.185と低い正の相関であった。【考察】 術後の尿中NGALピーク値が高いことと透析導入率、人工呼吸器管理日数延長、ICU在床日数延長に関連がない事が示唆された。術後12時間経過しても尿中NGALの上昇が継続していると人工呼吸器管理日数延長、ICU在床日数延長に繋がるという結果であった。術後にNGAL上昇を継続させない術中、術後管理が予後改善に繋がると考える。