[P48-5] 小児心臓手術後の横隔神経麻痺に対し横隔膜縫縮術を施行した症例の予後調査
【背景】小児心臓手術後の合併症として横隔神経麻痺が数%に発生する。年長児の多くは治療を要しないが、時に呼吸管理に難渋し、横隔膜縫縮術が施行される。最近は、呼吸器離脱困難症例については、診断がつき次第早期に横隔膜縫縮術を行うという意見が多い。【目的】今回、当院で小児心臓手術後に横隔膜縫縮術を施行した症例について、その有効性について後ろ向きに調査した。【方法】2011年1月~2018年9月に、当院で小児心臓手術後の横隔神経麻痺に対し横隔膜縫縮術を施行した症例19人を抽出し、年齢、原疾患、心臓手術、縫縮術までの期間、術後抜管までの日数、抜管後呼吸補助の有無、退院時の酸素療法の有無について遡及的に調査した。【結果】患者の年齢は1歳未満が12人、1~2歳が5人、3~4歳が2人で乳児が約2/3を占めていた。右側麻痺が7例、左側が9例、両側麻痺が3例であった。先行した手術は、フォンタン手術4例、ノルウッド手術2例の他は、異なる様々な手術で発生していた。先行する手術から横隔膜縫手術施行までの期間は9日から2年で、中央値は35日と長かった。縫縮術時挿管状態の患児が10例、NPPVが4例、HFNCが1例であった。術後抜管までの期間は、3日以内が10例、4~7日が2人、8日以上が5例(最長77日)で、両側麻痺の2例はNPPVのまま自宅退院となった。院内死亡は5人で、いずれも心不全の悪化によるものと判断された。【結論】心臓手術後の横隔神経麻痺は回復する可能性もあり、抜管が困難でなければ必ずしも縫縮術を要しない。しかし、再挿管を繰り返したり、抜管後もNPPVなどからの離脱が困難な場合には、積極的に縫縮術をするという報告が多い。当院でも、挿管あるいはNPPV症例の半数が縫縮術後7日以内に抜管できたことから、その有用性が示された。 ただし、重症心疾患に合併する場合、その生命予後に関しては、原疾患の重症度が大きく影響していた。