第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

技術開発/改良

技術開発/改良

2023年6月30日(金) 09:00 〜 10:10 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:吉田 靖(滋慶医療科学大学)

09:50 〜 10:00

[35] 臍帯血幹細胞自動採取装置

鶴田 久生, 浅野 強, 鶴田 仁子 (㈱セルピック)

胎児の出産前後に脳への血流が遮断され,脳性麻痺の大きな原因となる「新生児低酸素性虚血性脳症」の発生率は,新生児1,000人あたり1~2人の割合で起ると言われている.発症した新生児のうち,15 ~ 20%が死亡し,約30%に重篤な後遺症が残る.期待される治療法として,自己臍帯血幹細胞の投与による臨床治療の研究が進められている.このような治療を必要する状況の場合,臍帯血の採取量は40mlに満たない場合が60%以上との報告がある.また,幹細胞採取操作時には細胞壁への影響による採取幹細胞数の減少も生じる.低酸素性虚血性疾患の発症が予測される状況時の採取量の少ない臍帯血から,効率よくviabilityを維持した幹細胞の採取を全自動でおこなう装置を開発した.今回発表する『臍帯血幹細胞自動採取装置』は,真空採血管を活用したシステムである.自己臍帯血は再度の採取が叶わない検体であり,遠心機は附設の映像処理機能を含む全機能を即時交換可能な構造になっており,停電時においても採取処理操作完了まで電源喪失しない電源システムを具備している.分離後の幹細胞層を採取するピペットは,正確な吸引操作を実現するために専用のものを開発してCollect-tipと命名して活用している.Collect-tipは,先端が閉じられて先端部側壁周囲にスリット状のサイドホールをもっており,遠心分離された幹細胞層を正確,かつ,緩やかに吸引される.その正確な機能を検体や薬液の移注や重層にも活用して,精度と効率を高めている.真空採血管を活用した
「自動幹細胞採取装置」は,異なる比重の細胞採取ができる2種類のプログラムも搭載されており,viabilityを維持した「臍帯血の幹細胞」採取のほか,「抹消血の幹細胞」採取にも活用できる.