第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

感染防止

感染防止

2024年6月21日(金) 09:00 〜 09:50 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:一ノ渡 学(岩手医科大学)

09:10 〜 09:20

[19] マイクロファイバークロスの反復使用後の洗浄滅菌による性状変化

柏井 伸子1, 八木 俊彦2, 綿引 良子3 (1.グローバル医科歯科感染管理研究会, 2.東レ㈱アメニティー製品技術室, 3.東レ㈱トレシー事業室)

【目的】
歯科臨床での飛沫対策には,再汚染しにくいマイクロファイバークロスが有用である.リユース時の蛋白質残留については第98回日本医療機器学会大会で報告したが,品質維持の確認のため,反復使用での性状変化を検証した.
【材料および方法】
3cm× 3cmの東レ社製Toraysee & reg ; for CEに対し,蛋白質分解酵素入り中性洗剤モリタ社製ウルトラクレンザイムに15分間の浸漬,1分間のもみ洗い,1分間の流水すすぎをして乾燥した.サクラクレパス社製ネスコス & reg ; IC ICSスチームとともにホギメディカル社製ハイブリッドメッキンバッグA.C/ E.O両用(ロール)で包装し,IHIアグリテック社製ICクレーブの134 & deg;C4分デンタルモードで滅菌という操作を1・5・10・20・ 30・50・70・100回おこなった.その後,ミシン油+ATP試薬(粉末)/濃度0.001%を疑似汚れとし,拭き取り性能をキッコーマンバイオケミファ社製ルミテスター Smartとルシパック A3 Surfaceで測定し,尾崎製作所社製厚み測定器H型での厚み測定と,キーエンス社製マルチアングル観察システムVHX6000 / D510で表面と断面を撮影した.
【結果】
疑似汚れのATP平均値は30538RLU(Relative LightUnit)で,拭き取り後の残留ATP値および除去率は上記滅菌回数の平均値比較では86 ~ 156RLU,99.7 ~ 99.5%であり,除去率は50回を超えるとバラツキが大きくなった.未使用と複数回数との多重比較検定では,100回のみ有意差がでた.走査電子顕微鏡観察では100回で亀裂が見られ,ポリエステル繊維のダメージが確認された.
【考察】
回数が増えると触感が柔らかくなり,100回では性能低下が懸念される.
【結語】
廃棄物量削減や消毒薬での水質汚染の点から,汚染物の化学的分解より物理的除去が好ましいと考える.