第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

前立腺-拡散

前立腺-拡散

2014年9月18日(木) 09:30 〜 10:20 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:高橋哲(神戸大学医学部附属病院 放射線部)

[O-1-070] 前立腺computed DWIを用いた高分解能ultra-high b value DWIの有用性

片平和博1, 豊成信幸1, 野田誠一郎1, 竜由香梨1, 柏木寧1, 厚地修太朗1, 高岡宏子1, 吉村明1, 森下昭治1, 木谷公亮2, 濱田泰之2, 山下康行3 (1.熊本中央病院 放射線科, 2.熊本中央病院 泌尿器科, 3.熊本大学附属病院 放射線科)

【目的】前立腺癌MRI診断におけるultra-high b value DWI(b=2000)の有用性が報告されているが、高分解能撮像ではSNR低下に伴い診断能が低下する。そこでSNRを担保したb=1000画像で高分解能化しcomputed DWIでb=2000画像を作成することによる前立腺癌診断能について検討した。【方法と対象】対象は当院の3テスラMRI装置(Philips社製Ingenia3.0)にて高分解能b=1000画像を撮影した後に前立腺全摘術が施行された21例である。MRI検査前にホルモン療法や生検が行われている症例は除外した。前立腺全摘標本をgold standard(4mm以下の微少前立腺癌を除いた)とし、前立腺を辺縁域12分割、移行域6分割の合計18分割にて前立腺癌の存在診断をT2WI, dynamic study, DWIを用いそれぞれ5段階評価した。DWIに関しては、実際に撮像されたb=2000(aDWI)とcomputed DWI(cDWI)の2通りで5段階評価を行った。aDWIはb=2000, matrix112×112, FOV350mmであり、cDWIの元データはb=0/1000, matrix92×120, FOV180mmである。さらに前立腺癌部分と非癌部分のcontrast ratio(CR)を算出した。【結果】cDWI群の方がaDWI群より若干診断能は高かったが、有意差はなかった。CRに関しては、cDWIの方が有意にaDWIより高い結果となった。【考察】cDWIを用いることでaDWIを統計学的に有意に上回る診断精度を得ることはできなかった。実際は今回のcDWI画像は分解能およびCRが高いため病変の鮮明度が視覚的に明らかに高かった。今回のstudyのlimitationとしてT2WI/aDWI/dynamic studyのmultiparametric MRIにてすでに高い診断能だったため、cDWIに置き換えることによる診断能の上昇を得ることができなかったことが挙げられる。aDWIで診断に苦慮する症例もT2WI/dynamic studyで診断可能な症例もあり、純粋なaDWIとcDWIとの比較にならなかった原因も考慮される。しかし実際のcDWIの利用法としてaDWI撮像を省略しcDWIで代用する可能性や、装置の限界(shortest TEの限界)によりaDWIにてb=2000が撮像できない装置で低分解能b=1000をcDWIでb=2000画像を作成し代用する可能性が考えられる。cDWIは病変のコントラストが高く読影疲労が低くなるため、今後のさらなる応用が期待される。