第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

拡散-脊髄

拡散-脊髄

2014年9月19日(金) 16:10 〜 17:00 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:三木幸雄(大阪市立大学大学院医学研究科 放射線診断学・IVR学教室)

[O-2-201] 先行パルス拡散強調画像(DSDE法)による腰部神経根・腰仙骨神経叢描出の検討

丹治一1, 高橋大輔1, 八巻智也1, 小原真2, 米山正己2 (1.公益財団法人北福島医療センター 画像センター 放射線技術科, 2.フィリップスエレクトロニクスジャパン メディカルシステムズMRクリニカルサイエンス)

【目的】腰部神経根~腰仙骨神経叢を描出する手法に, SE-EPI DWIと同様なシーケンススキームを先行パルスに用いてMPGを印加する手法(MSDE:motion sensitized driven equilibrium)の報告がなされている.今回,MSDEにPhase cycling技法を応用し,先行パルスの効果をさらに強調した撮像法(DSDE:Diffusion sensitized driven equilibrium)による描出効果の検討をおこなった.【方法】使用装置はPhilips社製3T. 撮像は選択的水励起(ProSet)を付加した3D-T1TFE法によるDSDEである.評価には試料Phantom,および,院内倫理規定に則って施行されたボランティアの撮像を利用.先行パルスの印加時間やMPGの印加量,印加軸,印加形式の違いによる神経と脈管の分離精度の変化,CSF信号の変化,椎間板や腸腰筋などの隣接組織コントラストの変化の検討をおこなった.【結果】3D-T1TFE法のMSDEではT1或いはプロトン密度画像に類するコントラストを呈する一方,DSDEでは先行パルスの印加時間に依存したT2コントラストを呈し, 神経根および,CSFや脈管が高信号として描出された。MPGの印加量(b値)に依存して背景信号が抑制されるが,印加形式によってCSFや脈管信号の抑制程度が異なった。CSFの信号を保つか否かで撮像条件は大きく異なったが,いずれにおいてもMPGの印加軸と印加方法,印加量(b 60s/mm2~200s/mm2)の組み合わせで制御が可能で,腰部神経根を良好に描出することが可能であった。腰仙骨神経叢を詳細に描出するためには十分なSNの確保と消化管の排除が必要であった.【考察】MPG印加による腰部神経根・腰仙骨神経叢の描出では, 脈管信号の抑制とCSF信号の制御が問題になる。また、椎間板信号の上昇もMIP抽出能を低下させる他,病的診断の妨げに繋がる恐れがある。DSDE法においては、これらを考慮した表現手段を講じることができ、良好な腰部神経根・腰仙骨神経叢の描出が図られた.