第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

心大血管-MRA

心大血管-MRA2

2014年9月18日(木) 15:06 〜 15:48 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:田渕隆(八重洲クリニック)

[P-1-032] Vascular Crusherを利用したMulti-phase -EPISTARの基礎的検討

古河勇樹1,3, 吉田学誉1, 湯田恒平1, 妹尾淳史3, 河内伸夫2 (1.自警会東京警察病院 放射線科, 2.自警会東京警察病院 放射線部, 3.首都大学東京 健康科学域)

【背景】当院では、ASL( arterial spin labeling)を利用し脳実質の灌流を評価する際、血流アーチファクトに悩まされることがある。これを改善する手法としてVascular Crusher(VC)が知られている。VCはbipolar flow encoding gradient(Bi-fleg)を使用し、設定速度の血流信号をディフェイズする。【目的】今回、Multi-phase -EPISTAR にVCを付加し血流アーチファクトを抑えた脳実質の灌流画像を得るためVCの特性評価を行った。【方法】使用装置は、Philips社製3.0T Achieva X-Series R2.6とSENSE-Head coil。対象は本検討の趣旨を説明し、同意を得られた健常ボランティア。撮像条件は以下の通りである。2D FFE-EPI TR250 TE19 FA30 FOV230*230*54 スライス厚10mm スライス枚数5枚Vascular crushing velocities (VC vel) [cm/s]を変化させてコントラスト比(CR)を評価した。【結果および考察】VCを用いたASL(VC-ASL)は、VCを使用しないASL(non VC-ASL)に対して脳血管の描出を抑えることが可能であった。VC-ASLではnon VC-ASLよりもIntensity CurveのPeakが遅くなる傾向を示した。通常脳動脈から脳実質に血液が運ばれることから、non VC-ASLの計測値は脳動脈の血流信号を強く反映しているのに対し、VC-ASLの計測値では脳動脈の血流信号を抑え灌流を反映していると考えられる。すなわちVCが脳動脈の血流信号を抑制していると証明された。さらに血管が描出されない遅い相のVC-ASLでは、VC vel=10cm/sで空気と脳実質のCRが良好となった。これはVC velの値によってBi-flegの強さが変化し、VC velの設定値が高くなることにより早い血流は抑制されず描出されることが起因している。そのため原画のゲインが一番高い信号に合ってしまうため、低い信号強度の脳実質は高いVC velの設定にて影響されてしまうと推測される。Multi-phase -EPISTAR にVCを利用することで、血流アーチファクトを抑えた脳実質の灌流画像を得られることが示唆された。