[P-2-123] PET-MRI 一体型検出器の開発:シールドボックスの発熱評価
【目的】現在、放射線医学総合研究所では送受信コイル(バードケージコイル)とPET検出器を統合した「PET-MRI一体型検出器」を開発している。当検出器では、互いの装置から発生する電磁波を遮蔽するためにPET検出器をシールドボックスで覆っている。シールドボックスは銅などの導体が用いられているため、MRI撮像時のRF照射や傾斜磁場印加などにより発熱し安全性に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、光ファイバー温度計を用いて様々なMRI撮像時のシールドボックスでの発熱を観測し、その原因を考察した。【方法】MRI装置は、Verio3T(Siemens社)を使用し、バードケージコイルの上部と横に銅製のシールドボックス(縦131×横94×厚さ38mm3)を設置した。撮像にはFSE、Single shot GRE-EPI(位相エンコード方向A/PとR/L)、3D TOF、渦電流評価シーケンス[1]を用いた。蛍光式光ファイバー温度計のセンサーをそれぞれのシールドボックスの側面に貼り付け、MRI撮像中の温度を測った。【結果・考察】高速に傾斜磁場を変化させたEPIでシールドボックスの温度上昇が認められた。その変化量は約5分間の撮像で約0.5℃であった。また、EPIは2通りのエンコード方向で撮像したが、ともに周波数エンコード方向にあるシールドボックスで温度がより大きく上昇した。これは渦電流評価シーケンスの場合でも同様であった。これらの結果より、シールドボックスの発熱がEPIにより生じた渦電流によるものと示唆された。温度上昇は最大でも1℃未満であり、安全性には支障がないと考えられた。【結論】EPI撮像時にPET-MRI用シールドボックスにわずかな温度上昇が認められ、その原因として渦電流の影響が考えられた。[1] Suga et al. Quantitative Evaluation of the Short-Lived Eddy Currents in Shield Boxes of the Novel MRI Head Coil Integrated with PET Detectors, Proceedings of ISMRM2014, p.1406