第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳のMRI

脳のMRI

2014年9月19日(金) 10:12 〜 11:12 ポスター会場 (5F 通路)

座長:渡邉嘉之(大阪大学大学院医学研究科 放射線医学講座)

[P-2-161] Silen MRAの臨床応用とその有用性

鈴木通真1, 入江隆介1, 高野直2, 佐藤秀二2, 濱崎望2, 高山三音子1, 吉田茉莉子1, 鎌形康司1, 堀正明1, 山本宗孝3, 大石英則3, 青木茂樹1 (1.順天堂大学 放射線医学講座, 2.順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線部, 3.順天堂大学医学部 脳神経外科学脳神経血管内治療学講座)

【目的】MRI装置から発生する大きな音はMRI装置の大きな問題点の一つである。今回我々は静音化アルゴリズム(Silenz)を採用したSilent MRAを臨床応用した。文献的考察とともに各種症例を供覧する。【方法】平成26年2月から導入された当院の3T Discovery750w (GE)でsilent MRA、TOF-MRAを同じセッションで撮影を行った連続100症例を対象とした。必要に応じてDSA画像との視覚的な比較を行った。【結果】TOFと比較して、Silent MRAでは硬膜動静脈瘻、モヤモヤ病において細かな血管の描出・また流れの広がりが明瞭に描出された。また、脳動脈コイル塞栓術後では瘤内の描出が均質であり、血管造影所見と類似した。ステント併用コイル瘤内塞栓術後の症例では、ステント内腔はもちろん、ステント外の残余血流の描出が可能であった。椎骨動脈解離の症例では、TOF-MRAで壁在血腫が描出されたが、silent MRAでは消失していた。【考察】Silenzアルゴリムの詳細は明らかにされてはいないが、血流を画像化するためのプリパレーションパルスとしてArterial Spin Labeling(ASL)が用いられ、また、データ収集では3D Radial SamplingによるUltra short TE(UTE)が用いられている。UTEにより、Labeling された血流信号はボクセル内での位相分散が極めて少なく、且つ磁化率アーチファクトによる影響が少なくなっており、結果としてステントやコイルによるアーチファクトを低減し、周囲の血流を明瞭に描出できたと推察される。TOFで問題となる乱流にもより強く描出が可能と考えられる。本法はASL手法によるLabelingパルスのOnとOffの2回の撮像をサブトラクションして得られる画像のため、血腫のような静止組織は画像化されないと考えられた。【結論】Silent MRAを用いて撮影した臨床症例を提示し、TOF-MRAとの違いと有用性を示した。