第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳のfMRI

脳のfMRI

2014年9月19日(金) 11:12 〜 12:00 ポスター会場 (5F 通路)

座長:瀧澤修(シーメンス・ジャパン株式会社 イメージング&セラピ一事業本部)

[P-2-172] fMRI研究における生理学的ノイズ除去手法の最適化

鈴木千里1, 上野賢一1, Waggoner Roy Allen2, 程康1,2 (1.理化学研究所脳科学総合研究センター 脳機能磁気共鳴画像測定支援ユニット, 2.理化学研究所脳科学総合研究センター 認知機能表現研究チーム)

心拍や呼吸などの生理学的ノイズは脳機能信号の検出力を低下させるため、ノイズ除去法の適用は重要である。特に高磁場装置では生理学的ノイズが強調されるため大きな効果が期待できる。本研究ではk空間・実空間の両方で、2種類のノイズモデルを用いて補正手法の最適化を目指した。可変長モデルでは心拍および呼吸タイミング間の信号揺らぎが一定波形であると仮定、固定長モデルでは心拍・呼吸タイミングからの時間に依存して一定の信号揺らぎが発生すると仮定した。固定長モデルでは心拍・呼吸タイミング(いわゆるノイズ事象のトリガに相当)の取り方によって補正効果が異なるため、生理学的信号ピーク時間から遡った時間をいくつか選択して事象タイミングとして用いた。全てのモデルによる補正を比較、更にボクセルごとに最適モデルの選択を行い信号雑音比を評価した。最適補正法として、最適k空間補正結果について更に最適実空間補正を施す手法を提案する。自動的に各ボクセルについて最も効果的なモデルを用いた補正が行われる。補正効果を検討するために4テスラMRI装置および16チャネル受信コイルを用いた4ショットEPI法によるfMRIデータ収集を行った。刺激提示のない安静状態の撮像と合わせて、視覚関連脳活動を誘起させるために、チェッカーボードパターン視覚刺激をブロックデザイン提示した撮像も行った。撮像中は心拍をパルスオキシメーターにより、呼吸を腹部に固定した圧力センサーにより計測し、規則的な呼吸を行う試行と不規則な呼吸を行う試行とをそれぞれ別に行った。また、実空間補正を行うためにTSENSE法による再構成を行った(R=4)。その結果、いずれのモデルによる補正も信号雑音比向上に効果的に動作していることが分かった(k空間・実空間補正)。しかしながら最も効果的なモデルは実験の種類および対象ボクセルによってまちまちであった。すなわち、全てのボクセルについて最適なモデル、補正空間は存在しない。そこでk空間と実空間の両方で、ボクセルごとに最適なモデルを選択する方策を用いることでノイズ除去効率がさらに高められることが示された。