第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム1

fMRI でみる脳-視覚コラムからシステムまで-

2014年9月18日(木) 10:00 〜 12:00 第1会場 (5F 古今の間北・中)

座長:中井敏晴(国立長寿医療センター 神経情報画像開発研究室), 福永雅喜(生理学研究所 心理生理学研究部門)

[S1-4] 睡眠時の自発性脳活動 -fMRIと脳波の同時計測-

宮内哲1, 寒重之1,2 (1.(独)情報通信研究機構未来ICT研究所, 2.大阪大学大学院医学系研究科 疼痛医学寄附講座)

 健常なヒトの意識状態は,生理学的な覚醒水準の観点からは覚醒,浅いノンレム睡眠,深いノンレム睡眠(徐波睡眠),レム睡眠の四種類に大別できる。fMRIは局在性の脳活動を高い空間分解能で計測できるが,血流の変化に伴う磁気共鳴信号の変化を計測しているため,脳波のように意識水準の変化に対応した明確な変化は示さない。したがって,これまでのfMRI研究で計測されてきた脳活動のほとんどは,上記の4つの意識状態の中の覚醒時のみにすぎない。
 脳波とfMRIを同時に計測する事により,全ての意識状態に対応した脳活動をfMRIで扱うことが可能となる。われわれは脳波とfMRIの同時計測システムを構築し,これまでにレム睡眠時の急速眼球運動に伴う脳活動1) ,意識状態の変化に伴うDMN(Default Mode Network)の変化2) など,睡眠時の自発性脳活動を報告してきた。本シンポジウムでは,これらに加えて,覚醒から傾眠期への移行3) 及び徐波睡眠とレム睡眠におけるRSN(Resting State Network)特性の変化4) について紹介する。

参考文献
1 Miyauchi et al., Experimental Brain Research 192(4) :657-667 (2009).
2 Koike et al., Neuroscience Research 69 : 322-330 (2011).
3 Uehra et al., Cerebral Cortex doi: 10.1093/cercor/bht004 (2013).
4 Watanabe et al., NeuroImage doi: 10.1016/j.neuroimage (2014).