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[P44-04] Fontan手術後小児例の肝腎機能
キーワード:Fontan手術、eGFR、肝機能障害
【背景】Fontan手術後には、様々な合併症が起こることが知られている。肝機能障害が特筆されるが、腎機能障害についての詳細な報告はない。【目的】Fontan手術後小児例の肝腎機能とその機能に影響を与える因子を検討すること。【対象】2012年11月から2015年9月までに国立成育医療研究センターでFontan手術後に心臓カテーテル検査を行った15歳未満の29例。【方法】腎機能は血清クレアチニンと身長から算出したeGFR、肝機能は主に総ビリルビンを用い電子カルテを用い後方視的に検討した。【結果】年齢 5.6±3.8歳、主心室 左室8例、術後経過年数 45.7±40. 2か月、eGFR 106.0±17.4mL/min/1.73m2、GOT 42±13U/L、GPT 30±20U/L、γGTP 49±31U/L、Tbil 0.8±0.4mg/dL、PLT 26.1±10.3X104/μL、EF 57±8%、 CVP 13.1±1.9mmHg、Qs 3.06±0.53L/min/m2、Rp 1.95±0.53woodUm 2、SaO2 91.7±4.3%、SpO2 93.4±3.8%、房室弁逆流軽度以下22例 中等度以上6例 機械弁1例、ACEI or ARB内服26例、臨床上問題になる不整脈5例(内ペースメーカー2例)であった。eGFR 80mil/min/1.73m2以下の症例は2例であり、どの因子もeGFRと有意な相関を示さなかった。総ビリルビンは年齢 (r=0.63 p<0.001)、術後経過年数 (r=0.53 p<0.001)、BNP (r=0.57 p<0.01)、CVP (r=0.46 p<0.05)と有意に相関した。肝逸脱酵素は相互に相関するのみであった。【考察】肝機能は高いCVPに長期間さらされることで障害されることが示唆された。以前の成人例の検討ではeGFR 94.6 ± 17.6 mL/min/1.73m2で、年齢、Fontan術後経過年数、CVP、Qsと有意な相関を認め、今回の肝機能と類似して長期に渡る低拍出、高い静脈圧が原因で軽度の腎機能障害が引き起こされることが示唆された。15歳未満のFontan術後例の腎機能は、成人例やその肝機能と異なり比較的保たれ、肝臓と腎臓の障害の程度には差があり、その程度は相関しないことが証明された。