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[II-OR35-03] 当院における先天性心疾患・小児例へのECMO治療の現況~体心室ventingの効果~
キーワード:ECMO, 体心室venting, 単心室
【背景】小児用補助人工心臓が認可されたが、開心術後などに発生する重篤な体心室不全や、心肺蘇生時での小児への補助循環手段はECMOしかないのが現状である。補助人工心臓における心室の容量負荷の軽減が、体心室機能を改善させる事は明らかである。このため、我々は体心室機能低下を速やかに回復させるために積極的に体心室ventingを導入している。【目的】2015年から積極的に行っている、当院での先天性心疾患患児へのECMO治療における体心室ventingの効果について検討した。【方法】2007年4月-2016年12月までの小児ECMO導入症例42例中、体心室機能低下によるECMO導入31例を対象。心室ventingによる体心室前負荷除去を積極的に施行した症例をv群4例、体心室ventingを行わなかった症例をc群27例とした。【結果】基礎疾患の内訳は、v群:単心室症2例、Ross手術後1例、TGA術前1例、c群:Norwood術後を含む単心室症21例、二心室修復後6例。ECMO導入時平均日齢はv群:145.5±130.0日・c群:197.5±373.8日(p=0.11)、平均体重はv群:4.68±2.12kg・c群:4.11±2.09kg(p=0.78)、平均補助日数はv群:2.5±1.73日、c群:7.81±8.74日(p<0.05)、離脱症例はv群:3/4例(75%)、c群:16/27例(59.2%)であった。単心室症例に限定すれば、平均補助日数はv群:2.5±2.12日、c群:8.29±9.78日(p=0.34)と有意差は無いが、v群の方が短かった。【考察】単心室症例では、心房脱血・上行送血でのECMOでも体心室の前負荷の軽減は可能である。本検討ではv群での平均補助日数は有意に低く、またECMO離脱率も高かった。さらに単心室症例に限定してもv群のほうが補助日数は短い傾向にあった。この事から、ECMOのような短期間の補助や、単心室症例であっても心室機能低下が著しい場合には、体心室ventingは有効であると思われる。【結論】単心室症例の体心室機能低下例への補助循環として、体心室ventingを併用したECMO治療は有効であると思われる。