The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

一般心臓病学

Poster (II-P17)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Takashi Kuwahara(Division of Pediatric Cardiology, Children's Medical Center, Gifu Prifectural Medical Center)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-P17-03] Serratia liquefaciensによる感染性心内膜炎を呈した初小児例

百瀬 太一2, 増谷 聡1, 川崎 秀徳2, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 田村 正徳2, 先崎 秀明1 (1.埼玉医科大学 総合医療センター 小児循環器科, 2.埼玉医科大学 総合医療センター 小児科)

Keywords:infective endocarditis, gram negative, Serratia liquefaciens

【目的】感染性心内膜炎(IE)の起因菌はグラム陽性球菌(GPC)が多い。我々はIE診断時、経過よりGPCを起因菌として疑ったが、グラム陰性桿菌であるSerratia liquefaciens(Sl)が起因菌であった症例を経験した。SlのIEの初の小児例と考えられ、報告する。
【症例】在胎37週で出生、5p欠損症候群、両大血管右室起始症(大動脈弁下心室中隔欠損症)の児。胎便関連疾患のため日齢2に拡張部回腸切除術、stoma増設術を受けた。肺動脈狭窄がなく、心不全が進行した。初回手術待機中の日齢28に菌血症(血液培養からstaphylococcus epidermidis(SE)が2セット)を呈し、CAZ+DAPで加療された。血液培養陰性化、高肺血流性心不全のため抗菌薬継続のまま日齢30に肺動脈絞扼術・動脈管結紮術を受けた。術後3日、全身状態安定のため当院に逆搬送後、抗菌薬をSBT/ABPC+VCMとした。翌日(術後4日)に経胸壁心エコーで初めて僧房弁に明らかな疣贅を認め、術前の菌血症の起因菌であるSEによるIEを念頭に抗菌薬をVCMからDAPに戻した。しかしその翌日(術後5日)CRPが5から15mg/dLへ著増した。グラム陰性菌カバーのため、SBT/ABPCをMEPMへ変更した。術後6日に疣贅発見時の血液培養2セットからSl が報告され、以降も繰り返し検出された。同日よりDICを併発したが、保存的にDICは軽快、血液培養は陰性化した。現在、6週間の抗菌薬投与を継続中である。
【考察】検索した限り、Slの弁のIEは成人1例のみで、本症例は初の小児例である。既報告からはGPC以外によるIEが一定頻度認められ、その頻度は新生児期でより高い傾向と考えられる。本症例は、IE診断時、経過によらず、血液培養同定まではGPC以外も広範囲にカバーする抗菌薬を使用する重要性を改めて示唆する。