第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター (III-P37)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:田中 敏克(兵庫県立こども病院 循環器内科)

13:00 〜 14:00

[III-P37-04] 僧帽弁置換術(MVR)を施行された小児例の外科的再介入の適応と問題点に関する検討

須長 祐人1, 喜瀬 広亮1, 河野 洋介1, 戸田 孝子1, 小泉 敬一1, 本田 義博2, 加賀 重亜喜2, 鈴木 章司2, 杉田 完爾1, 星合 美奈子1 (1.山梨大学 医学部 小児科, 2.山梨大学 医学部 第二外科)

キーワード:僧帽弁再置換術, 先天性僧房弁疾患, 小児

【背景】先天性僧帽弁疾患に対する小児のMVRは、生涯にわたる抗凝固療法や、pannus発生、耐久性の問題および成長に伴うサイズミスマッチによる再置換術(reMVR)を要するため第一選択として推奨されない。しかし、弁形成が困難でMVRを施行せざるを得ない症例が存在する。
【目的】先天性僧帽弁疾患に対して乳幼児期にMVRを行い、その後reMVRを要した症例の臨床経過から、MVRを施行された小児のreMVRの適応と問題点を検討すること。
【対象】1999年1月から2016年12月までに当院でreMVRを行った3症例4件
【結果】症例1:MSR。生後3か月(BW3.4kg)に初回MVR(ATS16mm)を施行された。13年後に労作時疲労感が出現し、その後心エコーで左室流入速度(LV inflow)の上昇(2.34m/s)、心臓カテーテル検査で肺動脈楔入(PCW)圧の上昇(15mmHg)を認め、2か月後にreMVR(ATS20mm)を施行された。症例2:HOCM、MR。生後8か月(BW7.1kg)に初回MVR(ATS16mm)+myectomyを施行された。5年後に疲労感が出現し、LV inflowの上昇(2.26m/s)、PCW圧の上昇(16mmHg)を認め、3か月後にreMVR(ATS18mm)を施行された。症例3:CoA、MR。生後4か月(BW14.2kg)に初回MVR(ATS16mm)を施行された。無症状であったが急激なLV inflowの上昇(2.26m/s)がみられ、その後PCW圧24mmHg、平均PA圧32mmHgと上昇を認め、2年3か月後にreMVR(ATS18mm)を施行された。2年後に再度LV inflowの上昇(2.65m/s)、PCW圧22mmHg、PA圧49mmHgと上昇がみられ、reMVR(ATS18mm)を施行された。再置換時の術中所見は、症例1がサイズミスマッチ、他がpannus発生であった。reMVRでの周術期合併症はなかった。
【まとめ】今回の検討では、小児MVR症例におけるreMVRは合併症なく実施された。MVRを施行された小児例で、臨床症状、心エコーでのLV inflowおよびカテーテル検査でのPCW圧の上昇を認めた際は、pannus発生、サイズミスマッチを疑い、外科的再介入を検討する必要があると考えられた。