第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター (III-P37)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:田中 敏克(兵庫県立こども病院 循環器内科)

13:00 〜 14:00

[III-P37-07] Mustard術後の完全大血管転位症における遠隔期合併症

長田 洋資, 中野 茉莉絵, 升森 智香子, 水野 将徳, 都築 慶光, 後藤 建次郎, 麻生 健太郎 (聖マリアンナ医科大学病院 小児科)

キーワード:遠隔期合併症, 完全大血管転位, 成人

【背景・目的】Mustard術後遠隔期合併症は右室機能低下、不整脈、三尖弁逆流、静脈路狭窄など多岐にわたる。当院でフォロー中のMustard術後患者3名で比較的に稀な遠隔期合併症経験したので報告する。【症例】症例1) 42歳男性、【診断】TGA1型, IVC defect, azygos connection【経過】生後4ヶ月でMustard手術施行された。手術時輸血によりB型肝炎に感染、その後肝硬変に進展した。心疾患については定期的なフォローはされていなかった。39歳時に肝細胞癌を発症。HCC手術前の心臓カテーテル検査でSVC側のBuffle閉塞を確認。肝細胞癌の病理所見より慢性的な静脈圧亢進が癌発症に関与したことが疑われた。症例2) 41歳女性、【診断】TGA1型、【経過】日齢6でチアノーゼを認め、BASを施行。1歳10ヶ月時にMustard手術を施行。40歳時にHolter心電図を施行し完全房室ブロックを認めた。ペースメーカー留置前の心臓カテーテルでは上大静脈、下大静脈ともにBuffle狭窄を認めていた。今後ペースメーカー留置前にBuffle狭窄に対しステント留置とペースメーカー留置が予定されている。 症例3) 46歳男性、【診断】TGA1型、【経過】TGAに対して3歳時にMustard手術が施行された。右心機能は良好で、TRはtrivial。心電図上はIRBBB、不整脈はなし。1年毎に定期フォローされていた。44歳時に化膿性脊椎炎と感染性心内膜炎をほぼ同時に発症。内科的管理のみで軽快した。【考察】Mustard術後では比較的に稀な遠隔期合併症を発症した3症例を経験した。Mustard 術後遠隔期合併症は多岐にわたる。フォローでは心臓のみならず様々な合併症が発症する可能性があること念頭に置き診察すべきである。