第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター (III-P38)
術後遠隔期・合併症・発達 3

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:佐川 浩一(福岡市立こども病院 循環器科)

13:00 〜 14:00

[III-P38-07] 当院で経験した術後胆嚢結石の2例

新田 哲也1, 田原 昌博1, 下薗 彩子1, 真田 和哉1, 山田 和紀2, 小西 央郎3 (1.土谷総合病院 小児科, 2.土谷総合病院 心臓血管外科, 3.中国労災病院 小児科)

キーワード:術後合併症, 胆嚢結石, 先天性心疾患

【概要】胆嚢結石発症のリスクは様々であるが、循環器疾患では術後に利尿剤投与や水分制限を行い、また感染症の治療でセフトリアキソン(CTRX)を投与することもあり胆石を発症するリスクが高い。今回当院で施行した心疾患術後に胆嚢結石を発症した2例について報告する。【症例1】2ヶ月男児。生後横隔膜ヘルニア、cAVSDの診断で日齢8に横隔膜ヘルニア手術、生後2ヶ月時に肺動脈絞扼術(PAB)を施行した。PAB施行後2日目より活気不良、嘔吐出現。術後5日目に黄疸増強のため採血を施行。直接ビリルビン、胆道系酵素が上昇しており、腹部エコーで肝内胆管に胆石を認めた。ウルソデオキシコール酸、フロプロピオン、芍薬甘草湯の内服開始。その後徐々に黄疸は改善し、内服は8ヶ月間で終了した。その後胆石の再発はなかった。【症例2】5歳女児。VSD(小欠損)でフォロー中であったが感染性心内膜炎発症のため抗生剤投与を開始。治療開始後2ヶ月後にVSD閉鎖術を施行。薬剤感受性が高く臨床的にも有効であったCTRX投与を術後も1ヶ月間継続した。退院後1ヶ月半後より嘔吐、腹痛が出現し胆石症と診断。ウルソデオキシコール酸内服による保存的治療を行うも胆石は消失傾向になく、腹痛発作反復のため本人、家族の希望により腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行。一般的にはCTRXによる胆石は偽胆石であり、保存的治療で自然消失するとされるが本症例では胆嚢摘出術に至った。CTRXを長期間投与していたことに加え、人工心肺や術後水分制限、利尿剤投与が胆石発症のリスクとして考えられた。【まとめ】心臓手術後は利尿剤投与、水分制限など胆石を形成するリスクが考えられ、胆嚢結石を合併する可能性もあることを念頭に置いておく必要がある。