[P09-03] 急性心筋炎における不整脈
キーワード:急性心筋炎, 頻脈性不整脈, 体外式膜型人工肺
【背景】急性心筋炎は、主にウイルス感染により発症する。感冒様症状にひきつづき心不全症状や胸痛、不整脈などが出現する。心電図変化はST変化、異常Q波などから、徐脈、頻脈、心室内伝導遅延など多彩な変化が認められる。循環が急速に破綻していくものは劇症型心筋炎とされ、致死的経過をたどるため、速やかな補助循環の導入などが必要であり、悪化因子の1つに不整脈があげられる。【目的】急性心筋炎症例の不整脈と予後の関係を検討する。【対象と方法】当院で過去10年間に急性心筋炎として加療された11例。診療録をもとに後方視的に、不整脈の種類、治療、予後について検討する。【結果】11例のうち6例(55%)で不整脈が認められた。4例が徐脈性不整脈、1例が頻脈性不整脈、1例が心室内伝導遅延であった。徐脈性不整脈のうち3 例は完全房室ブロック(CAVB)であった。3例のうち2例はCAVBから心室頻拍(VT)などの頻脈性不整脈が出現。ペーシングのみでは改善が得られず、1例ではECMO導入となった。CAVBのみの症例では、ペーシングで改善。洞不全症候群で接合部調律の症例ではイソプロテノール持続投与のみで改善した。頻脈性不整脈例では発作性性上室性頻拍を認めた。フレカイニド、アミオダロン(AMD)投与するが抵抗性であり、その後ECMO導入となるも改善せず死亡。心室内伝導遅延の症例は、右脚ブロックから2枝ブロックに移行、心収縮能低下しECMO導入となった。導入後にVTを認めたが除細動にて停止、AMD継続投与。心機能が改善せずVADを導入し海外渡航移植となった。2例が死亡、1例が渡航移植であり、不整脈を合併していない例は全例軽快退院している。【考察とまとめ】徐脈性不整脈のみの症例ではペーシングや薬物治療で軽快したが、頻脈性不整脈を合併した症例ではECMO導入となっており、頻脈性不整脈、心室内伝導遅延は重症化の予測因子と考えられる。