第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション6(III-PD06)
AMPLATZER Duct Occluderで治療困難な動脈管開存のカテーテル治療戦略

2019年6月29日(土) 08:30 〜 10:00 第1会場 (特別会議場)

座長:大月 審一(岡山大学病院 小児循環器科)
座長:矢崎 諭(榊原記念病院 小児循環器科)

[III-PD06-02] 長い動脈管に対するカテーテル治療の工夫

田中 敏克, 松岡 道生, 三木 康暢, 亀井 直哉, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)

キーワード:PDA, Amplatzer Duct Occluder, Amplatzer Vascular Plug

[背景]2009年にADO-I、2019年にADO-IIが導入され、PDAに対するカテーテル治療の適応が拡大し、PDAの太さのみならず長さや形態に適したデバイス選択が重要となった。ADO-IIの添付文書には長さ12mm以下に使用と記されており、長くかつ管状のPDAの閉鎖には問題点が残る。[目的]PDAの長さに注目し、長いPDAに対する治療の工夫とその結果を明らかにすること。[対象と方法]2009年以降にカテーテル治療を施行した117症例のうちPDAの長さが10mm以上の症例について、形態、使用デバイス、留置後の造影所見などについて調べた。AVPについては院内の倫理委員会の承認を得て使用した。[結果]PDAの長さが10mm以上の症例は28例(全体の24%)であった。形態はtype A 3例, C 2例, D 6例, E17例で、最小径は1.0-5.6(2.1)mm、長さは10.0-19.7(12.2)mmであった。使用デバイスはFlipper coil 9例, ADO-I 12例, ADO-II 1例, AVP-II 6例 であった。Coil使用例はすべて最少径1.5mm以下でtype Dの1例のみ2個留置し、その他の症例は1個留置しPDA内での巻き数を多くするようにしていた。ADO-Iは10/8 2例, 8/6 9例, 6/4 1例, ADO-IIは4-6, AVP-IIは6, 8, 10mmそれぞれ2例ずつであった。留置後の造影でADO-I使用例ではbump形成やdevice遠位の残存するPDA内のdead spaceが目立つ症例が複数みられた。AVP-IIを使用した乳児例で翌日に肺動脈内に脱落していることに気づき、スネアで回収した。その他の症例はすべて退院後初回のエコーで完全閉鎖を確認できた。[結語] 長いPDAの閉鎖術において、遺残短絡なしに閉鎖するという観点では1.5mm以下はcoil、1.5mm以上はADO-Iを使用することで目的を達成することは可能であるが、大きなretention skirtをPDAの奥深くまで引き込むことによりbump形成による脱落、PDA組織の損傷、残存したPDA組織の遠隔期の瘤化や死腔内の血栓形成などの懸念もあり、長い管状のPDAについては、長さ12mm以下はADO-II、12mm以上はAVP-IIの使用が望ましいと考える。