第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラル(II)11(P11)
複雑心奇形1

指定討論者:大月 審一(岡山大学病院 小児循環器科)

[P11-2] TOF typeの肺動脈低形成の症例に対する治療戦略

正本 雅斗, 安河内 聰, 瀧聞 浄宏, 武井 黄太, 田中 登, 沼田 隆佑, 大日方 春香, 小山 智史, 米原 恒介, 山田 優里子 (長野県立こども病院 循環器小児科)

キーワード:肺動脈低形成, PA index, ファロー四徴症

【背景】ファロー四徴症(TOF)、肺動脈閉鎖(PA)では肺動脈低形成(hypoPA)のため治療に難渋する症例がある。一方hypoPAでも手術、カテーテル治療により順調に肺動脈が成長する症例も認める。【目的】hypoPA症例の長期的予後から、肺動脈成長に寄与する因子を検討すること。【方法】当院で治療したTOF typeの症例269症例の内、心臓カテーテル検査で計測したPA index<100の25症例(診断時年齢3.3才、男性13例)。治療介入により得られた最終的な肺動脈サイズについて治療介入時期、方法、治療前後でのPA index、末梢肺動脈径、肺血流量などの血行動態のパラメーターを比較検討。【結果】観察期間は13.8±9.0年、治療介入回数は5.5±6.4回、治療介入の方法はバルーン拡大16例、ステント拡大9例、外科的拡大9例。25症例中にはallagile症候群2例、22q.11.2del3例、CHARGE症候群1例を含む。12症例はPAI>100に成長、13症例はPAI<100で経過。14症例はRastelli手術に到達、6症例はpallilative Rastelli、5症例はBTshuntまでしか到達せず、5症例は経過中に死亡。PAI<100の症例はPAI>100の症例と比較し治療前のcentral PAの径(z score<-5.0)、PAI(右側)が細く、カテーテル治療の回数が有意に多かった。治療介入時期、肺血流量等の血行動態のパラメーターには有意差は認めず。PAIの成長は79.3±18.4→160.6±127.2(CI単独)、64.0±14.0→131.2±119.9(CI→外科)、61.3±13.9→77.7±36.0(外科→CI)であり、CI→外科の順番でより成長が得られた。ステントは9症例で留置、PAIは97.6±30.6→110.2±41.2と成長した。PAI<100の症例ではCutting balloon、angiosculptも使用され、cutting balloonではPAIの成長を認めたがangiosculptでは成長を認めない症例が多く経験の蓄積が必要である。【結論】出生時のcentral PAの発育の乏しいTOF typeの症例では手術介入に加え積極的にステント等のカテーテル治療を計画していく必要がある。