第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

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デジタルオーラル(II)16(P16)
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指定討論者:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)

[P16-2] 4D flow MRIが血行動態把握の一助になった5症例

中井 亮佑, 稲毛 章郎, 前田 佳真, 小林 匠, 吉敷 香菜子, 浜道 裕二, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:4D flow MRI, 先天性心疾患, 循環動態

【背景】近年先天性心疾患における血行動態の把握のため4D flow MRIの使用が増えている。当院で4D flow MRIが血行動態の把握に役立った5症例を報告する。【症例1】TOF,PV absence。4歳時に右室流出路再建、16歳時にRV-PA conduit size upを施行。術前のカテーテル検査中に肺出血のため人工呼吸器管理となった既往あり。19歳時に行ったMRIでRVからLPAに流れたflowが折り返してRPAへ流れる所見を認め、左血管抵抗が高いことが推察された。【症例2】無脾症,SLV,CA,CAVV,TAPVC(Ia)。1歳8ヶ月時にTCPCを施行。2歳4ヶ月時に行ったMRIにてTCPC conduitのflowはLSVCからP Aへ吹き込むflowに負け、LPAにのみ流れる所見を認めた。RPAへはLSVCの血流が流れ、将来右PAVFが生じる可能性が示唆された。【症例3】無脾症,DORV,PA,ASD,TAPVR(Ib)。1歳7ヶ月時にf-TCPCを施行、6歳時にチアノーゼが進行したため精査を行い、側副血管の塞栓を行うも効果は乏しかった。MRIにてTCPC conduitのflowはfenestrationを通じ心房へ逃げ、GlennのflowもPAへ流れずconduitから心房へ流れる所見を認め、肺血管床の問題が示唆された。【症例4】多脾症,DORV,PA,hypo RV。4歳時にTCPS with hepatic inclusionを施行。23歳時に喀血あり、カテーテル検査で左PAVFが判明した。造影でTCPS conduitの血流はP Aに流れていたが、26歳時に行ったMRIではTCPS conduitからの血流はhemiazygos veinの血流に負け、PAへ流れる血流が減少していることがわかった。【症例5】多脾症,DORV,PA,hemiazygos connection。10歳時にTCPS with hepatic inclusionを施行。造影剤アレルギーあり頻回のカテーテル検査は困難であった。緩徐にチアノーゼが進行し、33歳時に行ったMRIでhepatic veinの血流はlateral tunnelのleakから心房へ流れ、原因がPAVFである可能性が示唆された。【考察】4D flow MRIは血行動態の把握の参考となり、今後の治療方針決定にも有用である。