[III-P02-5-03] 東北の小児心臓外科治療の現状
キーワード:地域拠点化, 若手教育, 小児心臓外科医
【目的】 地域拠点化や次世代育成が進んでいく中で、地方特有の問題点の把握が重要と考えられる。今回、1.東北地方の小児心臓外科治療の現状および2.若手小児心臓血管外科医に対するアンケートを行ったので報告する。【結果】1.東北の小児心臓外科治療の現状:東北の人口は842万人(2022年)、出生数は46,111人(2022年)であった。最近30年間の出生数の減少率は、全国平均が32%の減少であるのに対して、宮城県を除く東北5県が減少率の多い1-5位を占めており、出生数の減少は他地方より顕著となっている。小児心臓血管外科施設は8施設、その内大学病院は6施設であった。小児心臓外科手術数は、2021年が516例、2023年451例と減少傾向であったが、コロナ感染等の影響も考えられ今後の動向を注視する必要がある。施設ごとの年間手術症例数は、100例以上2施設、40-100例2施設、40例以下が4施設であった。2.小児心臓外科のトレーニングを行っている若手、中堅医師15名にアンケートを行った(回答率94%)。卒後5年以下2名、卒後5年から10年7名、卒後10年目以上6名。質問項目は要約すると、トレーニング期間、経験手術数、40歳、50歳までの目標。地域拠点化やワークライフバランスについてである。若手中堅医師にとっては、地域拠点化については賛成で、理由としては経験数の増加、ワークライフバランスがとりやすいことが挙げられた。同時に中規模施設の小児心臓手術責任者にもインタビューを行ったが、県単位での小児循環器治療の必要性や患者移動の負担などから現行治療の継続が望まれているが、症例数の問題から若手教育に関しては困難であるということがわかった。【結語】東北地方における現状や問題点が明らかになってきた。患者の利益や若手教育を主眼として、今後議論していきたい。