日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】 トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表②

2022年8月31日(水) 11:00 〜 11:47 第2会場 (3号館4階401教室)

座長:須甲 理生(日本女子体育大学)

11:32 〜 11:47

[競技スポーツ-A-06] 幼少期における競技経験が大学野球選手の競技レベルに及ぼす影響(方,発)

*福家 瑠都1、河村 剛光2、青木 和浩1 (1. 順天堂大学大学院、2. 順天堂大学)

【目的】本研究では、日本の大学野球選手を対象に、野球を始めた時期や専門化した年齢、他種目経験など競技経歴の現状を明らかにし、競技経歴と各年代における競技レベルとの関連性を分析した。更に、中学生の時期に使用していたボールと各年代の競技レベルにも関連性があるのかを調査した。【方法】全日本大学野球連盟に加盟しているチームに所属する選手589名を対象にインターネットによるアンケート調査を実施した。質問項目は、野球を始めた年齢、野球以外の競技経歴、各年代における野球の最高成績、使用球、怪我(障害)、競技レベル (べンチ入りメンバー、ベンチ外メンバー)などとした。競技経歴と各年代の競技レベルとの関連性、及び中学生の時期に使用していたボールと各年代の競技レベルとの関連性についてX2検定を行った。【結果及び考察】調査の結果、野球を始めた平均年齢は7.8±1.8歳であり、野球に専門化した平均年齢は10.0±3.2歳であった。他種目経験者は328人であり全体の58%であった。そのうち233人(71%)の選手は野球に加えて他に1種目の競技経験があり、2種目以上の競技種目を経験していた選手は95人(29%)であった。競技経歴と各年代の競技レベルでは高校、大学で有意な関連が見られ、3歳から9歳の間で専門化し、野球以外の競技経験が無い選手で高校における競技レベルが高い傾向があった。また、3歳から9歳の間で専門化し、野球以外の競技経験が有る選手で大学における競技レベルが高い傾向があった。さらに、中学生の期間で使用していたボールと各年代の競技レベルでは、高校において有意な関連が見られたが、大学における競技レベルでは有意な関連がなかった。以上の結果から、専門化する時期が早い方が競技レベルは高い傾向にあるが、幼少期に複数の競技を経験することは大学での競技力向上に影響を及ぼす可能性が示唆された。