日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題B】 生涯スポーツは・人・地域社会・産業といかに関連するか

生涯スポーツ研究部会【課題B】口頭発表①

2022年9月1日(木) 09:00 〜 09:47 第6会場 (2号館1階11教室)

座長:成瀬 和弥(筑波大学)

09:00 〜 09:15

[生涯スポーツ-B-01] 子どもの安全なスポーツ環境構築に向けた地域スポーツの現状と課題(介,保,発)

スポーツ少年団指導者の救急対応に関する実態調査から

*佐野 颯斗1、山本 利春1、笠原 政志1、清水 伸子1 (1. 国際武道大学)

【背景】近年、子どものスポーツ環境が学校から地域へ移行されることが検討されており、その受け皿のひとつにスポーツ少年団がある。スポーツ活動を直接的にサポートする指導者は、活動時に発生した傷害や事故に対し、適切な救急対応を施す役割があるが、スポーツ少年団指導者の救急対応に関する実態は明らかになっていない。
【目的】スポーツ少年団指導者の救急対応に関する実態を明らかにし、子どもの安全なスポーツ環境構築のための基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】2021年10月〜11月、全国の単位スポーツ少年団に在籍している指導者を対象に、Googleフォームを用いたウェブ調査を実施した。調査内容は、1)対象者の基本的属性、2)救急対応の経験、3)救急対応の自信、に関する項目で構成された。4,408名の指導者から回答を得て、全ての回答に欠損のない4,382名を分析対象とした。なお、本調査は日本スポーツ協会との共同研究により実施した。
【結果】指導現場で救急対応を行った経験があると回答した者は64.5%であり、全体の75.1%の指導者が救急対応に関する講習会を受講した経験を有していた。さらに、その講習内容は「心停止への対応」が大半を占めており、「頭頚部外傷への対応」は19.6%と最も少なかった。また、救急対応の自信を傷害分類別に調査した結果、「熱中症への対応」に自信を有している者は多い反面、「眼の外傷への対応」や「頭頚部外傷への対応」に自信を有している者は2割程度であった。
【結論】スポーツ少年団指導者は指導現場で発生した様々な負傷・疾病に対して救急対応を行う可能性が高いものの、それらの対応に自信を有する者は多くはないことが明らかになった。子どもの安全なスポーツ環境構築のためには、比較的軽微な事故を含めた幅広い対応ができるとともに、最低限生命の危機につながる重大事故を適切に対処できる指導者の育成が必要と考えられる。