日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題B】 認知機能の維持・改善に運動・スポーツはいかに貢献するか

健康福祉研究部会【課題B】テーマ別シンポジウム/運動から認知へ、認知から運動へ

2022年9月1日(木) 10:30 〜 12:20 第8会場 (2号館2階21教室)

コーディネーター:木伏 紅緒(神戸大学)、細谷 洋子(東洋大学) 
指定討論者:岩沼 聡一朗(帝京科学大学)

[健康福祉-SB-1] 運動・スポーツが盛んな地域に暮らすだけで認知機能が維持される!?

*辻 大士1 (1. 筑波大学)

<演者略歴>
博士(体育科学) 筑波大学大学院体育科学専攻を修了後、ユヴァスキュラ大学ジェロントロジーリサーチセンターポスドク研究員、千葉大学予防医学センター特任助教を経て現職。主に高齢者を対象とした運動・スポーツ疫学、公衆衛生学を専門とする。本学会では「測定評価」「介護予防・健康づくり」専門領域に所属。
高齢者を対象とした多くの観察研究や介入研究の知見が蓄積され、適度な身体活動の実践は認知機能を良好に保ち、認知症予防に寄与する可能性が示されてきた。さらに、運動・スポーツは一人でおこなうよりも、グループに参加して誰かと一緒におこなうことで、得られる健康効果がさらに大きくなることも注目されている。これらの報告は個人のライフスタイルと認知機能の関連に着目したものであるが、近年、高齢者が暮らす地域環境が、認知症リスクを増減させる可能性も見えてきた。その環境要因の一つとして「運動・スポーツの盛んさ」があることを、演者らは全国7道県・16市町村に在住する約4万人の高齢者を6年間追跡したコホート研究により明らかにした。地域(≒学区)の中で、10人に1人の高齢者が運動・スポーツのグループに新たに参加するようになった(参加者割合が10%ポイント高くなった)と仮定した場合に、その地域に暮らす全ての高齢者の認知症リスクが(その人自身の参加・不参加を問わず)8%低くなることを突き止めた。なぜこのようなことが起こりうるのか、運動・スポーツの振興が認知機能の維持・向上に果たす新たな可能性について紹介する。