日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表①

2022年9月1日(木) 09:00 〜 09:47 第9会場 (2号館2階22教室)

座長:周東 和好(上越教育大学)

09:32 〜 09:47

[スポーツ文化-B-03] 長野県諏訪市「御柱祭」に見るエクストリームスポーツの要素(人)

伝統スポーツとエクストリームスポーツの接点を捉える

*豊島 誠也1 (1. 広島大学大学院)

本発表の目的は、長野県諏訪市で7年に一度の大祭と言われる「御柱祭」からエクストリームスポーツの要素を見出し、伝統スポーツをエクストリームスポーツと捉える現象(New Traditional Sports)の分析を試みることである。
 エクストリームスポーツとは、サーフィン、スケートボード、ロッククライミング、スカイダイビングなど、危険を伴うアグレッシブな身体活動として、特に若者文化と共に発展してきた背景を持つスポーツを指す。若者を中心に支持を受けてきたエクストリームスポーツであるが、近年は古くから各地域の文化内で継承されてきた伝統スポーツをエクストリームスポーツと捉える現象が確認できる。それは、もともと伝統スポーツに内在していた「極限性」をエクストリームスポーツと同様のものと認識しているためと思われる。
 そういった伝統スポーツの極限性に注目する動きは、大手エナジードリンク会社であり、エクストリームスポーツのスポンサー活動を積極的に行う、レッドブルのオンライン動画サイト「Red Bull TV」においても見ることができる。その中の「Archaic Festivals」というトピックには、世界各国の過激な要素を含む伝統スポーツの様子がドキュメンタリー方式で詳細に取り上げられており、御柱祭もその一つとして紹介されている。事実、「敢えて危険へ挑む」、「危険へ立ち向かう評価」、「度胸試し」といった要素は、伝統スポーツとエクストリームスポーツの接点、「極限性」として捉えることができる。
 本研究では、御柱祭をRed Bull TVの映像資料、現地での聞き取り調査結果から、エクストリームスポーツと捉えられる背景を整理する。そして、そこから極限性の諸要素を顕在化させ、それら要素の細分化及び考察を目的とする。