日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表③

2022年9月1日(木) 09:00 〜 09:47 第11会場 (2号館4階46教室)

座長:山口 理恵子(城西大学)

09:16 〜 09:31

[スポーツ文化-B-08] 地域の史実に由来するスポーツ・イベントの可能性(人,史)

「北灘ワンデリング大会」におけるアンケート調査結果から

*山田 理恵1、藤谷 雄平2 (1. 鹿屋体育大学、2. 鹿屋体育大学大学院)

地域の歴史的事実や地域ゆかりの人物に由来するスポーツ・イベントは、その地域の持続的な発展においてどのような有用性があるのか―。それについて考察することによって、スポーツを通じた地域開発の意義と可能性を考えるうえでの有効な手がかりを得ることができる。
 そのような地域の歴史的事実に基づいて企画されたスポーツ・イベントのひとつに、「北灘ワンデリング大会」(徳島県鳴門市北灘町)が挙げられる。「北灘ワンデリング大会」とは、第一次世界大戦時、徳島県の板東俘虜収容所に収容されていたドイツ兵俘虜たちが遠足や競歩大会で地元の人々との交流を深めた北灘町一帯を、彼らの足跡をたどって歩くという企画で、同町住民有志により2018年に始められた(山田、2019)。当初は年に2回開催されていたが、コロナ禍の2020年、2021年は、年1回、規模を縮小し予防対策を充分行ったうえで開催された。本研究では、主催者や参加者に3回にわたり実施したアンケート調査結果から、同イベントの意義と課題、今後の方向性を検討することを通して、地域に固有のスポーツ・イベントの取り組みや実践がもたらす、地域づくりや地域の持続的発展における可能性について考察することを目的とした。
 ところで、地域の歴史的事実に由来し定着している行事の事例として、鹿児島の伝統的運動文化である「妙円寺詣り」が注目される。今日、「妙円寺詣り」は観光化され、秋風の薩摩路は、往事に想いを馳せながら自由に歩く参加者やウォークリーに申し込んで歩く参加者で賑わう。本研究では、この「妙円寺詣り」の場合(山田ほか、2020)との比較もまじえながら考察を行うこととする。