3:30 PM - 3:45 PM
[学校保健体育-C-21] 小学生の開脚跳び動作の熟達度を評価する簡易版尺度の作成(教)
熟達度の変容からみた運動指導プログラムの効果検証への活用
【目的】開脚跳び動作の観察的評価基準について、少数の項目から分析を用いずに熟達度を同定できる簡易版尺度を作成し、その熟達度評価に基づき、運動指導プログラムの効果を検証することを目的とする。【方法】小学生513名のうち410名のデータを用いて、佐野ほか(2019)で潜在クラス分析から導出された5つの熟達度パターン(失敗型、腕動作依存型、着地不安定型、安定試行型、切り返し出現型)を再現できる6項目を、全30項目の中から精選した。6項目について、当てはまる評価カテゴリの数を合計することで熟達度を評価できる簡易版尺度を作成し、潜在クラス分析を用いた場合との分類一致率を算出した。また、残り103名のデータを用いて、同様に分析結果と簡易版との一致率を算出し、交差検証を行った。放課後運動プログラム「跳び箱運動」(全8回)に参加した3、4年生21名を対象に、指導前後で簡易版尺度による開脚跳びの熟達度評価を行い、熟達度の変容(クロス集計)と項目得点の比較(ウィルコクソンの符号付順位検定)から指導の効果を検証した。【結果】簡易版尺度に最適な項目群として、踏み切りでの「自由脚の屈曲調整」と「リバウンドジャンプ」、着手での「手の突き放し」と「後方回転」、着地での「両脚の揃え」と「静止姿勢」の6項目が選定された。潜在クラス分析と簡易版尺度の評価との一致率は84.1%で、交差検証では87.9%となった。プログラム前後での熟達度の変容は、指導後に熟達度が向上した児童が10名、変わらなかった児童が8名、下がった児童が3名であった。項目得点を比較した結果、「リバウンドジャンプ」と「手の突き放し」で、指導後に有意な動作改善が認められた(p<0.05)。一方、熟達度の下がった児童を確認すると、着地の項目で得点が下がっていたことから、踏み切りでの前方への勢いが増したことで着地の安定性が低下した可能性が考えられる。