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[学校保健体育-C-22] 小学生におけるマット運動前転動作の観察的運動動作の因子構造と運動プログラムによる動作の改善(方)
【目的】 小学生のマット運動の前転について、動作因果関係を考慮した特性要因図を作成し、技の運動観察的な動作評価尺度を構成すること、およびその動作評価尺度に基づき、運動指導プログラムの効果を検証することを目的とする。 【方法】 神戸市内の小学校に於いて放課後運動プログラム(全11回)に参加した児童を対象に、前転動作を前方・側方から固定撮影した。撮影は、プログラム初回(61名)と最終回(48名)の2回行った。先行研究ならびに撮影した児童の映像等から、動作因果関係を考慮した前転動作の特性要因図を作成した。特性要因図により得られた動作に、2~3段階の評価段階を設定し、前転の動作評価尺度を作成した。評価尺度に基づき児童の動作を評価し得点分布を算出するとともに、前転の動作を構成する要因を明らかにするため、各動作項目の得点に対してカテゴリカル因子分析を用いて動作因子を抽出し、抽出した因子に対してバリマックス基準の直交回転を施し、各因子を解釈した。その後、動作要因ごとの運動プログラムの効果を検証するため、初回・最終回調査ともに参加した児童37名を対象に、対応のあるt検定を実施し、指導前後の因子得点を比較した。 【結果】 特性要因図の動作観点をもとに、全38項目からなる前転の動作評価尺度が作成された。得点分布から「手の位置」(88.2%)、「手の向き」(80.0%)の着手に関する項目の達成率が高く、「股関節角度」(11.8%)、「腰角の増大」(13.6%)の腰角に関する項目の達成率が低かった。カテゴリカル因子分析の結果、4因子が抽出され、この4因子で全分散の50.2%を説明した。前転の動作要因として「上体支持動作」「重心引き上げ動作」「順次接触動作」「立ち上がり動作」が抽出された。プログラム前後での因子得点を比較した結果、「立ち上がり動作」において指導後に有意な動作の改善が認められた(p<0.05)。