4:02 PM - 4:17 PM
[学校保健体育-C-23] マット運動における後転の目線に関する研究(方)
首の痛みや動感との関連
マット運動における後転の主な技術は、「順次接触技術」「回転加速の技術」「頭越しの技術」とされており、その中でも、「順次接触技術」は、スムーズに後方へと転がるために必要な技術である(金子,1982)。順次接触技術を成立させるには、頭部の腹屈が不可欠の動作となるが、そのためのコツとして、複数の指導書(NPO法人CSP,2010;中島,2005;文部科学省,2015;三好,2018)では「へそを見る」という記述が見られる。この記述情報は、筆者がこれまで見てきた指導実践現場における助言内容としても度々耳にしてきたことでもあった。しかし、筆頭著者が過去に大学生に後転を指導した際に「へそを見る」意識の有効性に疑問を抱くこととなった。その学生は、後転は一応できているものの回転速度が遅く、首に強い痛みを感じていることを報告していた。報告を踏まえて後転を観察すると、顎が胸に接触するほど頭部が過度に腹屈していることが見受けられた。そこで「どこを見て後転してるのか?」と質問すると「へそを見ています」と回答したため、筆頭著者は代行的にへそを見て後転を行った。すると、首に若干の痛みと技のやりにくさを感じた。そこで、普段実施している仕方で目線はどこに置いているかを自己観察すると、膝かつま先辺りを見ていることが直観された。そのため、今度は学生に膝かつま先を見て実施するように助言したところ、学生からは首の痛みがなくなったと報告された。また、回転速度が速くなったこと、学習者の動感にも変化が生じたことが観察された。
そこで本研究では、へそ、膝、つま先の異なる目線で後転を実施した際に、首の痛みや動感にどのような影響が生じるのかについて、映像記録およびアンケート調査を通して検証する。それにより、効果的な後転の指導方法の構築に資する情報を提示することを目的とする。
そこで本研究では、へそ、膝、つま先の異なる目線で後転を実施した際に、首の痛みや動感にどのような影響が生じるのかについて、映像記録およびアンケート調査を通して検証する。それにより、効果的な後転の指導方法の構築に資する情報を提示することを目的とする。