日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】 体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表④

2022年9月1日(木) 15:30 〜 16:33 第5会場 (2号館4階4E教室)

座長:末永 祐介(熊本大学)

16:02 〜 16:17

[学校保健体育-C-15] 体育における家庭でのポートフォリオ検討会の効果に関する研究(教)

*石井 幸司1,2、高木 宏2、鈴木 直樹3 (1. 宇都宮大学、2. 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科、3. 東京学芸大学)

ポートフォリオ評価法とは、「ポートフォリオづくりを通して、学習者が自らの学習のあり方について自己評価することを促すとともに、教師も学習者の学習活動と自らの教育活動を評価するアプローチ」である(西岡,2016)。ポートフォリオ評価を用いることで、子供と教師が学習をふりかえりながら到達点を確認することを通して、子供の自己評価を促し、戦術的理解に効果があったことが明らかになっている(川端ら,2005)。このポートフォリオ評価では、自己評価場面としてポートフォリオ検討会が設定され、継続的に収集された評価情報を手がかりに、これからの学びを見直す重要な機会として位置づけられている。さらに、このポートフォリオ検討会に、教師と子供以外にステークホルダーとして保護者が参加することで、子供の学びを促進する効果があることが明らかにされている(Burkeら,1994;奈須,2020)。一方、家庭で子供を育てる保護者の存在は子供の学びに大きな影響を与えており、保護者の認識は子供の学びを支える大きな要因となるにも関わらず、ポートフォリオ検討会に参加した保護者にどのような効果があるのかは、検討されてきていない。そこで、本研究では、保護者を対象とし、子供が保護者と共に家庭で行なう体育のポートフォリオ検討会の効果を明らかにすることを目的とした。具体的には、1年間を通して定期的に体育のポートフォリオ検討会を家庭で実施した、4地域の小学校第5学年の子供をもつ保護者117名の自由記述アンケートをテキストマイニング分析法と質的帰納的分析法で分析した。調査の結果、保護者は家庭での子供とのポートフォリオ検討会を通して、子供の成長過程に注目しながら、アドバイスをしたり称賛をしたり、次のめあてを共に考えたりするコミュニケーションが増えることが明らかになった。さらに、授業参観等で体育を見るよりも子供の内面を理解しながら体育の活動をまなざすことが明らかになった。