日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題C】 運動不足(不活動)に伴う心身機能の低下をいかに予防するか

健康福祉研究部会【課題C】テーマ別シンポジウム/オンライン化で得られる健康、失う健康

2022年9月1日(木) 17:00 〜 18:50 第1会場 (3号館3階301教室)

コーディネーター:大槻 毅(流通経済大学)

[健康福祉-SC-3] 「体験」と「健康」の捉え方

*久保 正秋1 (1. スポーツ&レジャー研究所)

<演者略歴>
東京教育大学体育学部卒業 博士(体育科学)筑波大学
日本スポーツ教育学会賞(1995)東海大学名誉教授(2016)日本体育学会賞(2019) 
著書:「コーチング論序説」(不昧堂)「体育・スポーツの哲学的見方」(東海大学出版)
本シンポジウムでは、体育哲学の立場から「体験」の「健康」への影響を論じる。しかし「体験」と「健康」、この言葉自体が曖昧である。「体験」は「経験」との相違が不明確であり、混乱した使用法が見られる。例えば「peak experience」の日本語訳には「至高体験」「至高経験」の二つがあり混乱している。「健康」は「病気でないこと」と思われがちだがそうではない。WHOでは身体的、精神的、社会的「well-being」を「健康」としているが「well-being」が何であるかは明確でない。よってまず、「体験」「健康」という言葉を整理する。「体験」を「経験」へと推移する現象として捉え、その始まりである主客未分、脱自、思考以前の状態を「体験」の原点と考えてみる。次に身体的、精神的、社会的「well-being」が何であるのかを考え、「健康」を規定する。そして「well(満足/十分/適切)」な「being(存在/実存/人生)」と「体験」の原点との結びつきを考察し、そこに生起する「体験」の「健康」への影響を見ようとする。