日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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体育科教育学/口頭発表①

2022年9月2日(金) 10:20 〜 11:23 第2会場 (3号館4階401教室)

座長:本多 壮太郎(福岡教育大学)

10:52 〜 11:07

[11教-口-03] 水への恐怖心を抱く児童についての事例研究

小学校3年A児へのアプローチ

*牧野 祥子1 (1. 国際武道大学)

平成29年告示の小学校学習指導要領解説体育編(以下、解説)の「水遊び」の低学年では「水慣れを通して不安感を取り除き、水の心地よさを味わうことからはじめ、水の中を移動すること、もぐる・浮くことなどの基本的な動きを身につけられるようにし、中学年の水泳運動の学習につなげていくことが求められる」と記されている。このことから、水への不安感や恐怖心を取り除くことが「水遊び」の学習の第一歩であると考える。
 解説の水慣れに関連する例示に「水かけっこ」や、苦手な児童への配慮に「顎→口→鼻→目へと徐々に水につける部分を増やしたりするなど」が挙げられている。演者はこれらを問題視している。「水かけっこ」では、水をかけられる部位やタイミングを予測することが難しく、不安感が高まる子がいる。顎から口や鼻、目と水が入る恐怖を順次想像する子がいる。このような水慣れは、水への恐怖心を煽っている可能性があると考える。
 また、「もぐる・浮く運動遊び」では「水中でのじゃんけん、にらめっこ、石拾い、輪くぐりなど」が例示されているが、これらはもぐれることが前提となった運動であり、もぐることが怖い児童の課題になり得ない。
 以上のように解説の例示の①水かけっこや顎から順に水につけていく水慣れが水への恐怖心を増大させている可能性があること②もぐることが前提となった運動が例示され、できない児童にとって取り組むことが困難であることに問題があると考える。
 そこで本研究では、小学校1,2年時に水慣れが十分にできず、水への恐怖心を抱いている小学校3年のA児を対象に、上で指摘した問題とは別の水に慣れるための指導をし、その過程と結果を報告する。そのために関与観察からA児の水慣れの様子をエピソード記述(鯨岡、2005)としてまとめ、これに画像を分析対象として、考察を加える。